恐怖に、飲まれそうだった ページ29
『あちゃ〜やっぱこうなるか。だからあたしが説得するって言ったのに』
崩れた瓦礫の中から女性が出てきた。乱れた髪の毛を指で梳かしながら溜息を吐いている
「……お前は？」
『え、ああ、そっか。わかんないか。見た目、変わってるもんね』
僅かに狼狽えたように見えたその女は目を伏せた。しかし、それも気のせいだったようだ。すぐに足元に会った瓦礫を拾って投げつけてくる
『とっとと身体返せっての。こんな所で死ぬって言うのは面白味がないでしょ？』
「オレの質問に答えろ。お前は誰だ」
『……Aだよ』
――――そんな馬鹿なことがあっていいはずがなかった
こいつがA？あんなに小さくて、何かに怯えてて、子供だったA？
それに、オレがAだとわからなかったなんて
ああ、でも嬉しい。こいつはこんなに大きくなるまで死なずにいる
「……なぁ、お前がここにいるということは此処はオレの精神世界じゃないのか？」
『いや、クロロの精神だよ。あたしはそこに入り込めただけ』
「そうか。じゃあ死ぬ、というのは」
『あたし達にかけられた念の制約は“敷地内”であること。逆に敷地から出たら死ぬ設定になってる』
「なるほどな。……じゃあ、敷地から出なければいいわけだ」
『クロロ！』
「だってそうだろう？そうすればオレは消える必要がない」
Aにも大人のクロロ同様に鎖が巻き付いてくる。それを振り払おうとした彼女だったが、まるで成す術がない
「もう少ししたら“元に”戻るから。だから、あと三日間だけオレを消さないでくれ」
『じゃあ、３日経ったら身体を返して』
「約束しよう」
その精神世界からクロロは出て行った。それを見届けてからAは溜息を吐く
『ねぇ、どう思う？女将のこと。なんでカルトを誑かしたんだろ』
「オレ達を幼児化させた理由もわからない。殺すだけならとっくにやっているだろう？」
『あたしさ、さっき一瞬だけ外に出れたんだよね。だからマチに一応、注意することは伝えといた』
「よく出られたな」
『……小さい時のあたしは“痛み”に怯えてた。だから、先手を打たれる前に少々痛めつけたんだよ』
そう言ってAは目を伏せた。唇を噛み、拳を握りしめる
『あの子の恐怖があたしにも伝わってきたんだ。少しだけだけど、虐待されてた時の記憶も思い出した。もう、消えたと思ったのに。痛みが、あんなに怖かっただなんて』
あの頃を消してしまいたい、と彼女は呟いた
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RT - とても面白いです！三年も書いていたんですね！このシリーズ大好きです！ (2018年9月3日 23時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
rua - ちょ〜〜面白いです。 また新しい作品楽しみにしてます。 応援してます！ (2016年10月28日 15時) (レス) id: ce0d20423e (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - アスカさん» とりあえずは完結させようと思っていたところまで物語を書き、そこから繋げて行こうと思っています (2016年4月25日 18時) (レス) id: e736e9b02c (このIDを非表示/違反報告)
アスカ - 夢主vs女が楽しみすぎる！！ところで、本誌の番外編と言うのは予定通り作品を完結させてから別枠で書くのか、作品に組み込ませて書くのか決まってましたら教えていただけますか？ (2016年4月25日 0時) (レス) id: 62f7d68aec (このIDを非表示/違反報告)
藍琉 - はははっw某戦略シュミレーションゲームのうちの初期刀と同じかーwそういやちゃんとした意味は調べたことないなー…まじかよ(何個か特徴当てはまる)…かもしれないです。カルト…！！(ノД`)°。 (2016年4月20日 23時) (レス) id: 97ccf20f00 (このIDを非表示/違反報告)
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