結局は同じ穴に棲んでいる ページ27
『ダメ、なの。ダメ。なりきれて、ないの。あたし、ちがうの』
「A？」
『あたしのこと、たいせつにしないで。だって、クロロけがする。あたしのせいで、けがする。ヤダ。あたし、なりきれなかったから。ずっと、せまくてよかったのに。そとにでたから』
「何を言っているんだ？」
頭を抱えながらAは蹲る。何かから逃げるようにして耳を塞いだ彼女は叫んだ
『うるさいの！じゃま、じゃま、じゃま！あたし、あなたしらない。あたし、クロロ、すき。クロロのあい、すき。もって、いかないで……！』
彼女はそう叫んで倒れてしまった。クロロはそれを急いで抱きかかえる
細かく痙攣する彼女の瞳孔は開ききっていた。聞き取れない譫言をいくつか呟いたあと、Aは起き上がる
「A！大丈夫か」
『うん。ゴメン、ゆっくり話は出来ないんだ。マチ！頼みがある』
「アンタ、まさか」
『今は元通りのあたしだよ。でもすぐに、またガキに戻っちゃう。だからその前に伝えておきたいことがあるんだ』
「なんだい」
『あたしとクロロをこの旅館の敷地から出さないで。あと、カルトには気を付けて。あれは絶対に女将が何かした』
「……わかった」
『あ、クロロにも言うことがあるんだ』
さっきとは打って変わって力強い様子のAを見てクロロは驚いていた。しかし名前を呼ばれたことによってハッとする
『あたしを愛さないで。あたしがアンタを愛するだけでいい』
「ふざけるな！」
『これは真面目な話だよ。アンタはこの先、自分よりも仲間よりも大切な物を作る。でも、あたしなんかに構ったせいでそれが揺らぐ』
それだけを矢継ぎ早に言ったAは倒れた。そして、再び目を覚ます
『……クロロ！あのね、あのね、あたしのなかに、へんなひといた。おんなのひと。そのひとに、おこられた』
「なんて言われた？」
『アンタなんか、死ねばいいって。あまったれてる、っていってた。ねぇクロロ、「あまったれてる」ってなに？』
そう言った彼女をクロロは無言で抱きしめる
――――さっき喋っていたのはきっと大人のAだ。こいつはあんなにも堂々とするようになるのか
しかも自分に向かって「死ねばいい」と言うなんて。自分嫌いは治らなかったのか
「オレと同じ、か」
オレと同じで自己嫌悪が激しい人間になるのか
オレと、同じで
そう考えて口角が吊り上っている自分がいることに気が付いた
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RT - とても面白いです！三年も書いていたんですね！このシリーズ大好きです！ (2018年9月3日 23時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
rua - ちょ〜〜面白いです。 また新しい作品楽しみにしてます。 応援してます！ (2016年10月28日 15時) (レス) id: ce0d20423e (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - アスカさん» とりあえずは完結させようと思っていたところまで物語を書き、そこから繋げて行こうと思っています (2016年4月25日 18時) (レス) id: e736e9b02c (このIDを非表示/違反報告)
アスカ - 夢主vs女が楽しみすぎる！！ところで、本誌の番外編と言うのは予定通り作品を完結させてから別枠で書くのか、作品に組み込ませて書くのか決まってましたら教えていただけますか？ (2016年4月25日 0時) (レス) id: 62f7d68aec (このIDを非表示/違反報告)
藍琉 - はははっw某戦略シュミレーションゲームのうちの初期刀と同じかーwそういやちゃんとした意味は調べたことないなー…まじかよ(何個か特徴当てはまる)…かもしれないです。カルト…！！(ノД`)°。 (2016年4月20日 23時) (レス) id: 97ccf20f00 (このIDを非表示/違反報告)
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