相互理解の難しさについて ページ21
『なにしたら死なせてくれる？』
何でもするよ、と言ったAはただ笑っているだけだ
その笑顔を見て、まだAの正体を知らなかったあの頃を思い出す
「……お前の命は重いんだよ」
『え？』
「お前が死ぬことで悲しむ人がクロロ以外にいるんだ。だから死なせたりはしない」
きょとんとした表情になったA。吸い込まれそうに真っ黒な瞳が告げる
『クロロじゃなきゃダメなんだよ』
「私じゃダメなのか」
『うん。だって、あたしはあなたのこと、どーでもいいもん』
何も考えていなさそうな子供が正直な言葉を言う。それは何よりも真実に近いものだということをクラピカは理解していた
『死なせてくれないの？』
「ああ」
『あたしのこときらいだから？……あ、でもきらいなら死なせてくれる……』
無駄なことに頭を捻らせるAは普通の子供にしか見えない。ただ、思考が恐ろしくずれている。自分の命などに興味は一切なく、今は「なぜ死なせてくれないのか」という問いでいっぱいのようだ
自分に全くもって興味がないその身勝手さは周りをこんなにも振り回すのか
「クロロのところに行こう」
『ダメ！クロロ、あたしきらい』
「嫌い、と直接言われたわけじゃないだろう」
『でもダメなの！だって、あなたはクロロにおこってるもん』
その非力な腕で彼女はクラピカを必死に止める
『クロロになにかしたらゆるさない』
一瞬、自分だけが映っている黒い瞳に寒気がした
この子は本気だ。私がクロロに手を出したら、確実に命を捕りに来るだろう
『あたしがアナタを死なせるから』
殺す、という単語をまだ知らない彼女。それがどうにも痛々しい
「……何もしないと約束しよう。だから、クロロに会ってくれ」
その言葉に渋々と頷いたA。その手を引いてキキョウの間へと向かう
襖を開けると、ゴンとクロロが口論しているのがわかった
「だからAのところに行って！！」
「断る。アイツはオレなんかの側にいるべきじゃない」
「Aはそう思ってない」
「慣れないのは最初だけでいつかオレのことは忘れるさ」
「そうはならないよ。クロロもきっと寂しくなる！」
「オレは別にいいんだ」
―――ああ、やっぱりAがこうなのはお前のせいか
お前が自分を大切にしないから。それは別に構わないが、それがAにも移ってしまった
Aをその場に置き、クラピカはクロロを睨み付けた
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RT - とても面白いです！三年も書いていたんですね！このシリーズ大好きです！ (2018年9月3日 23時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
rua - ちょ〜〜面白いです。 また新しい作品楽しみにしてます。 応援してます！ (2016年10月28日 15時) (レス) id: ce0d20423e (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - アスカさん» とりあえずは完結させようと思っていたところまで物語を書き、そこから繋げて行こうと思っています (2016年4月25日 18時) (レス) id: e736e9b02c (このIDを非表示/違反報告)
アスカ - 夢主vs女が楽しみすぎる！！ところで、本誌の番外編と言うのは予定通り作品を完結させてから別枠で書くのか、作品に組み込ませて書くのか決まってましたら教えていただけますか？ (2016年4月25日 0時) (レス) id: 62f7d68aec (このIDを非表示/違反報告)
藍琉 - はははっw某戦略シュミレーションゲームのうちの初期刀と同じかーwそういやちゃんとした意味は調べたことないなー…まじかよ(何個か特徴当てはまる)…かもしれないです。カルト…！！(ノД`)°。 (2016年4月20日 23時) (レス) id: 97ccf20f00 (このIDを非表示/違反報告)
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