奪われる前に、無くす前に ページ15
手を引かれ、廊下を歩く。その時、ふと辺りが明るくなった。不思議に思ってその光が射す方向へと目を向けると上の遠いところに、何かがあるのを少女は見た
『……あれ、なに？』
思わず好奇心が向くがままに上を指す
「知らないのか？」
『し、ら、ない？』
あれは“しらない”というのだろうか。初めて見るものだからわからない
少女はずっと不思議に思っていた。自分がいつもいた場所はすぐ近くに天井があったのに、この場所の天井は見えないくらいに遠くて、しかも色が変わる。それが少女には信じられなかった
でもそれを伝える術を彼女は持たない。そのための言葉を知らない。ただただ漠然とした想いが募っていくのがむず痒かった
しらない、と何回か呟いていると青年が慌てて首を振った。何をしているんだろう
「あれは月だ」
『……つき』
「そうだよ。太陽とは違うものだ」
この人が何を言っているのかはわからない。ただ、自分に何かを教えてくれているのだと言うのはわかった
少女は途端に理解する。この人は、きっと、きっと。痛いことをしない
そう思うとまた瞼が重くなってきた。睡眠衝動が少女を襲い、そのまま夢の中へと誘う
「A？」
急に倒れた小さな彼女を慌ててクラピカは抱きかかえた。寝息を立てて眠る彼女の顔は月明かりに晒されてよく見える
濃く、小さな隈がその目の下に出来ていた。こんな小さな子供が隈なんかを作ってしまう環境にいたのか
ゴンとキルアからAが虐待されていたことを聞いた。そしてレオリオからは、その傷の痛ましさを
彼の辛そうな表情を見ればすぐさまにそれが酷いものだとわかった。今はもう、キルアの弟だというアルカの能力で治したらしいが、心までは癒せなかったようだ
Aは、この子は。月の名前さえ知らなかった。おそらくは初めて見たのだろう
「……惨いことだ」
月、という名称は勝手にいつの間にか知っていた。教えてくれたのは両親かもしれないし、パイロかもしれないし、長老様かもしれない。そんなことは覚えてない
でもAは覚えているのだ。クロロがいろんなことを教えてくれたことを、大人になった今でも明細に覚えている
だからお前は奪う側になったのか？全てを持っていなかったのに、それでも奪われ続けたから
Aに対する復讐心が揺らいでいく。なのにクロロに対する憎しみは蔓延るばかりだ
クラピカはこの気持ちに“嫉妬”という名前をつけた
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RT - とても面白いです！三年も書いていたんですね！このシリーズ大好きです！ (2018年9月3日 23時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
rua - ちょ〜〜面白いです。 また新しい作品楽しみにしてます。 応援してます！ (2016年10月28日 15時) (レス) id: ce0d20423e (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - アスカさん» とりあえずは完結させようと思っていたところまで物語を書き、そこから繋げて行こうと思っています (2016年4月25日 18時) (レス) id: e736e9b02c (このIDを非表示/違反報告)
アスカ - 夢主vs女が楽しみすぎる！！ところで、本誌の番外編と言うのは予定通り作品を完結させてから別枠で書くのか、作品に組み込ませて書くのか決まってましたら教えていただけますか？ (2016年4月25日 0時) (レス) id: 62f7d68aec (このIDを非表示/違反報告)
藍琉 - はははっw某戦略シュミレーションゲームのうちの初期刀と同じかーwそういやちゃんとした意味は調べたことないなー…まじかよ(何個か特徴当てはまる)…かもしれないです。カルト…！！(ノД`)°。 (2016年4月20日 23時) (レス) id: 97ccf20f00 (このIDを非表示/違反報告)
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