一日又は千秋 環さんリク ページ41
『……暇だ』
ソファに横たわり、足を伸ばして身体から力を抜け切らせている女がそう言った。
会いに来たかと思えばマニア専用器具の話か馬鹿らしい提案をしてくる彼女はこういうことも珍しくない。
「殺し合い」
『飽きた』
「拷 問実験台」
『痛覚遮断した上に治るまで君の世話になってやろう』
「“混ざり合い”」
『気分じゃない』
娯楽に関しては貧相なレパートリーしか持っていないのでこれ以上のものは言えなかった。奴は流し目でこちらを見た後、大きく溜息を吐く。
『なんだ。もうおしまいか。君はもっと日々を謳歌した方がいいぞ！』
「お前みたいになるよりはマシよ」
『だから君は愚民なのだ。精進したまえ』
そんなことを一通り、いつものようなことを言ったあとに再び溜息を吐く。先程のよりかは一回りほど大きくなったそれと共に退屈も吐き出して欲しかったのだがそう上手くいくものじゃないらしい。
『そうだ！暗黒大陸に行こう！』
「一人で行って死んでこい阿呆女。お前なんか土踏んだ瞬間におさらばよ」
『何をほざく。君が盾となるのだ』
「なるわけないよ」
唇を尖らせて似合っているのかどうかが微妙に分からない表情をしている女に軽くナイフを投げつける。
「暗黒大陸、人いないよ。未知のものあてもお前が楽しめるはずないね」
『……驚いた。よく分かってるじゃないか！』
「お前単純。このくらい分かて当然よ」
ふふ、と奴は気色の悪い笑みを浮かべる。こんな奴と命を交換してしまったことに頭が痛くなり始めるが、それを許してしまったのは自分だ。致し方ない。
そういえばクロロと接している時もよくこんなことを思う。だからと言ってこいつと団長を同視するつもりはさらさらないが。
『フェイタン』
「なに」
『私の名前を呼べ。退屈だからな』
「A」
数回ほどしか口にしたことのないその言葉の羅列はいつ耳にしても奇妙な感覚を味わう羽目になる。
「早くワタシに盗まれろ」
Aは愉悦の表情を浮かべる。目は恍惚を浮かべ、そのくせ口元はあくまでも理性的に歪んでいるのだ。
『やはり君は私の唯一だな』
当たり前だろう、と返す。そうか、と返される。
程なくして奴は部屋を出て行った。ちょっとそこらに出に行ったのか、それともまたしばらく来ないのかは知らない。
次はいつ会えるのか。それとも今生の別れとなったのだろうか。それすらも知らぬまま、知ろうとも思わずに手近にあった画集を手に取った。
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だいふくさん(プロフ) - 展開、夢主ちゃんの念能力の設定とても凝っていて凄いなと思いました。クロロの頭目らしい余裕ある思考や振る舞い、フェイタンの少し不器用なところがたまらんです。イチゴさんの文章がとても好きです（語彙力無くて上手く表せないのですが）。これからも応援しています (2019年1月31日 21時) (
レス) id: e941665527 (このIDを非表示/違反報告)
コンパイルエラー(プロフ) - 続きが早く読みたい！ (2019年1月21日 14時) (レス) id: 8e7827f170 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 楽しみに待ってます！ (2018年10月21日 19時) (レス) id: 2f8f38bf2c (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - 続編、それも原作沿いとわかり、狂喜乱舞しております。主の性格も、回りとの関係性も大好きなのでとても嬉しいです。3月４月？勿論待ちますとも。イルミとクロロとの会話でニヤニヤしました。 (2018年10月7日 19時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - 復帰楽しみに待ってます。イチゴさんの作品は全部好きで読ませてもらってます。この作品も大好きです。続きが読める日を楽しみに待ってます！ (2018年10月7日 14時) (レス) id: 2f4db1a1c5 (このIDを非表示/違反報告)
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