そんなものは要らない。 ページ34
神が笑い、人に堕ちるのか。微笑まれた人は神となるのか。
そんなことはどうでもいい。瑣末で、ゴミのような因果関係だ。我らにはそんなものは要らぬ。要らぬから我らなのだ。
完結しよう。その他一切を排除して殺しあったとしても終わらないのが我らだ。
『君は』
「お前は」
『私の』
「ワタシの」
『唯一だ！』
「欲望だ！」
何処まで走る。何時まで走る。簡単だ。
誰もいない所まで。朝が追いつかない時まで。
『いいぞ。いい、最高だ！君を選んでよかった！』
「許してやるよ馬鹿女！お前はワタシに選ばれた」
『神を選ぶか。神の上を行くか！それも良し。人をやめろ。世界を見渡せ！さあ、お前は何処にいる！』
「お前がいるところにワタシはいる。これ不変の真理、世界の理。探さなくとも“此処”にいる」
だからこいつのことは手に入れられぬのだと身を引き裂かれるような静かな激情に身を任せ、心を千切る。
千でも足りぬ。万でも少ない。お前を手に入れられぬ苦しみにはどれも欠ける！
『フェイタン』
「A」
『三千世界の鴉を殺し君と朝日が見たいのだ！』
「胎蔵界曼荼羅に火をつけてそこでお前と夜にいたい」
なんて不自然な醜怪。ヤギの像に跨って腰を一生懸命振り、赤ん坊を喰らうような人間でも失禁しながら裸足で逃げ出すような所業。
『真反対だな』
「だから惹かれる」
『手に入らぬのに？』
「その代わり隣にいろ」
『君は分かっているはずだ。その願いを叶える方法を』
「お前もワタシと対等でいたければ命令しろ」
その白い腕を汚すような黒色の龍が奥から浮かび上がり、指先を通してこちらの体内に入り込んでくる。
するりと腕を伝って胸へ。その奥で脈打つ臓器に尾を絡ませたそれは表面上は消え去った。
その冷たさを感じながらAの腕を指先でなぞる。なぞった先から白い龍が浮かび上がり、彼女の肉の奥へ潜り込んだ。熱い吐息が漏れる。
『フェイタン』
「A」
互いに命じることなど一つしかないだろう。お前を歪めたのはワタシだ。ワタシを歪めたのはお前だ。
『“私のことを一生諦めるな。いつか盗ってみせろ”』
「“ワタシがいつか盗ってやるからそれまで誰にも盗られるな”」
命だけでは到底足りぬ契約を交わし合い、その肌に爪を立てた。流れる血を舐め取り、そのまま舌を捩じ込む。
愛など何処にもない接吻は鉄の味がした。
END
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 237人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
だいふくさん(プロフ) - 展開、夢主ちゃんの念能力の設定とても凝っていて凄いなと思いました。クロロの頭目らしい余裕ある思考や振る舞い、フェイタンの少し不器用なところがたまらんです。イチゴさんの文章がとても好きです（語彙力無くて上手く表せないのですが）。これからも応援しています (2019年1月31日 21時) (
レス) id: e941665527 (このIDを非表示/違反報告)
コンパイルエラー(プロフ) - 続きが早く読みたい！ (2019年1月21日 14時) (レス) id: 8e7827f170 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 楽しみに待ってます！ (2018年10月21日 19時) (レス) id: 2f8f38bf2c (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - 続編、それも原作沿いとわかり、狂喜乱舞しております。主の性格も、回りとの関係性も大好きなのでとても嬉しいです。3月４月？勿論待ちますとも。イルミとクロロとの会話でニヤニヤしました。 (2018年10月7日 19時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - 復帰楽しみに待ってます。イチゴさんの作品は全部好きで読ませてもらってます。この作品も大好きです。続きが読める日を楽しみに待ってます！ (2018年10月7日 14時) (レス) id: 2f4db1a1c5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
