それから。 ページ26
「いいのか？行かせてしまって」
飛行船の中。ゆっくりと空の中を飛びながら窓の外を見ていた。
反対側の席に座るクロロはそう言ってシャンパンを一口煽る。その手首にはもう黒龍はいない。
「あいつが何しようがあいつの自由。ワタシ知らないよ」
「プロポーズまでしておいてよく言う。……冗談だ。そう睨むな」
あの場にいたのがクロロで本当に良かったと思う。これがもしもフィンクスだったりしたら死ぬまでからかわれ続けるだろう。そうなったら流石に殺さなければならない。
「……カゾクと話をつけたら、良い暗器と拷 問具を扱う店を紹介してくれる言たね」
「ああ」
「あと、団長にも恩があるから必要になったら言てくれて。特別にタダで誰でも殺してやる言てたよ」
「それはいいな。いつか仕事に参加させてもいいかもしれない」
「だから」
だから。別に、永遠の別れという訳では無い。
あの時、互いに覚悟させられたそれはもういらないのだ。
「……次会た時は、ぶん殴てやるよ」
素直じゃない、とクロロは苦笑を漏らした。また睨みつけてやるがもう何処吹く風で、別の種類のシャンパンを開けて飲み比べをしている。
「フェイタン」
「何ね」
「お前が死ななくて良かったと思ってるよ」
「……そうか」
お前は素直すぎるのだ、と心の中で悪態をつく。やりづらいことこの上ない。やはりクロロとAはどこか似ている。
それでも。そういう奴に惹かれてしまうのが自分の性なんだろう。惚れた弱み、と言うのは間違っているだろうか。けれどもそういう相手にはなぜか甘くなってしまう自分がいる。
「もうAを盗れないじゃないか。先手必勝というやつだな」
「盗るも何も勝手にすればいいよ」
「団員同士のマジ切れ禁止、だろ？」
「なぜ私がキレるか」
「別にお前がなんて言ってないんだけどな。もしかしたらゾルディックを相手にするなんて、と苦言を漏らすやつがいるかもしれない」
そんな奴がいないのはクロロならば百も承知のはずだ。白々しいにも程がある。
「ま、次はもうちょっと気の利いた言葉でプロポーズするんだな。あれじゃあ振られても仕方ない。……っておいフェイ！酒が零れる。何をそんなに怒って……いや、照れてるのか。うわ、殴ろうとするな！」
「黙るよ団長」
高度６００メートル地点にて。１０月６日、午前３時のことであった。
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だいふくさん(プロフ) - 展開、夢主ちゃんの念能力の設定とても凝っていて凄いなと思いました。クロロの頭目らしい余裕ある思考や振る舞い、フェイタンの少し不器用なところがたまらんです。イチゴさんの文章がとても好きです（語彙力無くて上手く表せないのですが）。これからも応援しています (2019年1月31日 21時) (
レス) id: e941665527 (このIDを非表示/違反報告)
コンパイルエラー(プロフ) - 続きが早く読みたい！ (2019年1月21日 14時) (レス) id: 8e7827f170 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 楽しみに待ってます！ (2018年10月21日 19時) (レス) id: 2f8f38bf2c (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - 続編、それも原作沿いとわかり、狂喜乱舞しております。主の性格も、回りとの関係性も大好きなのでとても嬉しいです。3月４月？勿論待ちますとも。イルミとクロロとの会話でニヤニヤしました。 (2018年10月7日 19時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - 復帰楽しみに待ってます。イチゴさんの作品は全部好きで読ませてもらってます。この作品も大好きです。続きが読める日を楽しみに待ってます！ (2018年10月7日 14時) (レス) id: 2f4db1a1c5 (このIDを非表示/違反報告)
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