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そして七日目。時刻は１１時５５分。
ワタシとクロロとAは中央広場に来ていた。時計台の前にはあの二人が立っている。
『イルミ、私はずっと悩んでいた』
「うん」
『死ぬか家に戻るかで』
Aは夜風を頬に受けていた。靡く髪は月よりも銀色に輝いている。
『お前は能力の使い方を間違えた。私に命令されたのは“今日ここに来ること”』
「A」
『案ずるな。どちらにせよ選択肢は二つなんだ。家出を成功させればお前が死ぬ。だからな、もう決めたんだ』
家に帰るよ、とAは言った。
別に驚きがあったわけでも怒りがあったわけでもなかった。不思議だ。出会った当初はあんなに殺したかったのに。
『その前に一つだけやらせてくれ』
Aは振り向いた。腕を取られ、袖を捲られる。
『すまないな。ずっとずっと騙していた』
彼女の小指の爪が伸び、血管が浮き出る。凶器と化した爪で黒い龍が浮かび上がっているところの何ヶ所かを軽く刺された。
すう、と黒龍が消えてゆく。こちらを睨みつけていた瞳も跡形もなく消え、残るは元の肌だ。
『元々君に能力なんてかかってなかった。だって考えてご覧よ。死を厭わない君が死を免れたくらいで恩を感じるのかい？』
答えは否、だ。だから疑問に思いながら、気づかないながらも心のどこかでは命を助けられたのだと思ってしまっているのだろうと、そう思っていた。
『でもな、クロロ。君のは本物だ。すまない。でもその大きさだとせいぜい大動脈が切れる程度だから安心してくれ』
「……ああ」
『世話になったな。二人ともありがとう』
時計台が５９分をさした。
『もう、会えないだろうな』
Aはイルミの元へ歩き出した。一歩一歩、確実に。踏みしめるようにして歩く。
いいじゃないか。かけられたと思っていた念は単に細胞を刺激されて変色しただけのもの。ワタシが今考えるべきはこの後のクロロの手首の手当てだ。
それにしても腹が立つ。ずっと騙していたとは。やはり殺してやりたい。そうだ、やはりこいつのことは嫌いだ。大嫌いだ。
３０秒前。
早く行け。早く戻ってしまえ。もう二度と会うことなんてないんだろう。それでいい。元々交わるはずのない人間同士だった。
１０秒前。
ほら、イルミとかいうあのいけ好かない男は両手を広げて待っている。なのにどうしてそんなに躊躇うのだ。双子だろう。大事なんだろう。
５秒前。
『さようなら』
Aがイルミに手を伸ばした。
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だいふくさん(プロフ) - 展開、夢主ちゃんの念能力の設定とても凝っていて凄いなと思いました。クロロの頭目らしい余裕ある思考や振る舞い、フェイタンの少し不器用なところがたまらんです。イチゴさんの文章がとても好きです（語彙力無くて上手く表せないのですが）。これからも応援しています (2019年1月31日 21時) (
レス) id: e941665527 (このIDを非表示/違反報告)
コンパイルエラー(プロフ) - 続きが早く読みたい！ (2019年1月21日 14時) (レス) id: 8e7827f170 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 楽しみに待ってます！ (2018年10月21日 19時) (レス) id: 2f8f38bf2c (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - 続編、それも原作沿いとわかり、狂喜乱舞しております。主の性格も、回りとの関係性も大好きなのでとても嬉しいです。3月４月？勿論待ちますとも。イルミとクロロとの会話でニヤニヤしました。 (2018年10月7日 19時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - 復帰楽しみに待ってます。イチゴさんの作品は全部好きで読ませてもらってます。この作品も大好きです。続きが読める日を楽しみに待ってます！ (2018年10月7日 14時) (レス) id: 2f4db1a1c5 (このIDを非表示/違反報告)
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