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「何このポンコツ。うちのヘリならあと三倍は速さ出るのに」
「ゾルディック私用船と比べられてもねえ♢」
八つ当たりのつもりで壁を蹴れば、運転に集中しておくれよ♡と言われた。こんな機体、片手でも操縦できるのに。
「早く追いつかなきゃ。A、服斬られてた。きっと今頃中で襲われかけてる」
「そうかな？」
「そうだよ。だって綺麗だもん」
そう言うとヒソカは喉を鳴らして笑い始めた。もう慣れたが不愉快なことに変わりはない。
奴は身体を捻ってこちらを向く。耳元に唇が寄せられ、針で刺そうとした瞬間に囁かれた。
「Aもキミくらいに美味しそう……♤」
首を９０度回す。奴の方を向いた。
「お前から殺すよ？」
「もう♧冗談だよお♡」
「Aに手を出そうとした瞬間に殺す」
「そっか♡ねえ、それよりも君さ♢」
「なに」
奴は前を指さした。視線をそちらに移すと巨木の枝がすぐそこまで迫っていた。
そういえばここは世界樹の枝を植えて成木まで成長させた地の一つだった。オリジナルよりは遥かに小さいが、それでも普通の木々に比べれば抜きん出て大きく、偉大だ。
「あ」
気づいた時にはもう遅い。真正面から機体はそれに激突し、為す術もなく墜落する。
「わざと？」
「まさか♡」
落下特有の浮遊感とヒソカの笑みが相俟って、気持ち悪くなったような気がした。
ドアを開けて脱出する。地についた途端に乗り捨てたヘリは爆発を起こした。中にいれば流石に無事では済まなかっただろう。
「これからどうするの？」
「大丈夫。居場所は分かる」
携帯端末に地図が映し出され、その上を点滅する点が動く。
「さっき打ち込んだ針、GPS付きだから」
「なるほど♤機体そのものにダメージを与えたかったのかと思ったけど違うんだ♧」
「オレでもあんな針でヘリをどうこうしようとは思ってないよ。咄嗟の時は、だけど」
今回が恐らく最後のチャンスなのだ。これを逃したらもう先はない。
そうなってしまったら、オレは。
「早く行くよ」
耐えられない。Aが双子でないなんて。元からオレ独りだったことになるだなんて。
そんなのは“間違っている”。
「……戻ってたな、色」
太陽光の下に出ると透けてしまいそうになる程に美しい銀糸。光を反射するそれは神たる彼女に相応しい。瞼の裏にはまだあの煌めきが残っていた。
あれを取り戻すためなら、何だっていい。
「A」
逃亡成功阻止可能時刻まで残り４９９時間。
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だいふくさん(プロフ) - 展開、夢主ちゃんの念能力の設定とても凝っていて凄いなと思いました。クロロの頭目らしい余裕ある思考や振る舞い、フェイタンの少し不器用なところがたまらんです。イチゴさんの文章がとても好きです（語彙力無くて上手く表せないのですが）。これからも応援しています (2019年1月31日 21時) (
レス) id: e941665527 (このIDを非表示/違反報告)
コンパイルエラー(プロフ) - 続きが早く読みたい！ (2019年1月21日 14時) (レス) id: 8e7827f170 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 楽しみに待ってます！ (2018年10月21日 19時) (レス) id: 2f8f38bf2c (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - 続編、それも原作沿いとわかり、狂喜乱舞しております。主の性格も、回りとの関係性も大好きなのでとても嬉しいです。3月４月？勿論待ちますとも。イルミとクロロとの会話でニヤニヤしました。 (2018年10月7日 19時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - 復帰楽しみに待ってます。イチゴさんの作品は全部好きで読ませてもらってます。この作品も大好きです。続きが読める日を楽しみに待ってます！ (2018年10月7日 14時) (レス) id: 2f4db1a1c5 (このIDを非表示/違反報告)
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