BREAK WARD！ ページ19
「あーあーハローチェックワン・ツー。……うん、正常だ」
突如として響いた公共放送にAがギョッとしたように顔を上げた。
「時計台に備わっているやつか。逃げて正解だったな」
『しっ！奴ら、何か思いついたらしい』
マイクをトントンと叩いたくぐもった音がしてから再びイルミの声が放送される。
「Aは聞こえてるかな。まあ街にいるなら聞こえるよね。ちょっと昔話をしようか」
『何を……』
「あれは三歳の時だったかな。Aってば無茶してさ。ハバツボミの実を食べちゃったんだよね。父さんも母さんも解毒剤は出してくれないし。もーシラハラの花びら採りに行くの大変だったんだよ？ま、Aの為だったからいいけど」
それを聞いたAは、少なくとも出会ってからは見たこともないくらいに顔を真っ青にさせた。耳を塞ぎながらどこかに逃げようとする。
「おい！」
『離してくれ！あれは聞いちゃいけないんだ。クソ、どうして気づいた。クソ。あと一週間なのに』
「落ち着け。何ね」
『イルミの奴、誓約に気づきやがった！』
尚も放送は続く。どういう意味だと聞いても耳を塞いで逃げようとするばかりでどうしようもない。
「あとさー五歳の時だったかな？」
放送の内容は凡そ、イルミが如何にAを助けてきたかというものだった。六歳の時は、九歳、十歳、と思い出話をしていく。
そこに来て漸く気がつく。
イルミはAに“恩”を売ったことを思い出させているのだ。
クロロもそのことに気がついたらしく、舌打ちを打った。
「まずいな。今すぐ声の届かないところまで逃げようにも出口には執事とやらが大量に待機している。こいつを庇いながらでは無理だ」
もし自分一人であったら能力で一網打尽にできるのに、と歯痒く思う。
「本当に色んなことがあったよね。A」
そしてトドメの一言がAの耳に届いてしまった。
「オレに恩、あるよね」
自ら鼓膜を潰そうとしていたAの手が止まる。ああ、と奴には似合わぬ絶望の淵に立っているような声がした。
Aの腕に、足に、首に。至る所に白い龍が巻き付いていく。彼女の肌の上にじんわりと浮かんでは締め付けるようにその身体の上を這う。
「うーん、オレの予想が当たってればいいんだけど。まあ賭けみたいなものだし。よし！“A、一時間後までに時計台下の広場に来い”」
嫌だ嫌だと幼子のように首を振り、恐怖に染まった表情をしているAが歩き出した。
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だいふくさん(プロフ) - 展開、夢主ちゃんの念能力の設定とても凝っていて凄いなと思いました。クロロの頭目らしい余裕ある思考や振る舞い、フェイタンの少し不器用なところがたまらんです。イチゴさんの文章がとても好きです（語彙力無くて上手く表せないのですが）。これからも応援しています (2019年1月31日 21時) (
レス) id: e941665527 (このIDを非表示/違反報告)
コンパイルエラー(プロフ) - 続きが早く読みたい！ (2019年1月21日 14時) (レス) id: 8e7827f170 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 楽しみに待ってます！ (2018年10月21日 19時) (レス) id: 2f8f38bf2c (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - 続編、それも原作沿いとわかり、狂喜乱舞しております。主の性格も、回りとの関係性も大好きなのでとても嬉しいです。3月４月？勿論待ちますとも。イルミとクロロとの会話でニヤニヤしました。 (2018年10月7日 19時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - 復帰楽しみに待ってます。イチゴさんの作品は全部好きで読ませてもらってます。この作品も大好きです。続きが読める日を楽しみに待ってます！ (2018年10月7日 14時) (レス) id: 2f4db1a1c5 (このIDを非表示/違反報告)
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