LOOK UP！ ページ1
それは、突如として起こった。
例えるならば、そう。蛹から出てきた蝶の羽が広がって網目を持つ半透明のそれが広がるような。
『……戻ってしまったか』
見慣れてしまった黒髪から一転、光を反射する銀糸のAがそこにいた。
「どんな仕組みだ？」
クロロが読んでいた本から視線を移す。瞼がいつもより開いているということは興味があるのだろう。
『針さ。色彩操作できるツボがあってな。そこを上手く刺激してやると好きな色に出来る』
「じゃあまた黒に戻すのか？」
『いいや。これはイルミが使っている特注の針がないと出来なくてな。一本持ってくればよかった。ぬかったな』
よく見ると睫毛や眉毛などもその色になっている。元の薄い肌色も相まって、口を閉じてさえいれば儚げに見えないこともない。
「そちの方が神らしいよ」
『やっと私が神だと認めたか！しかしすまないな。私を信仰することは君には叶わないのだ！』
「黙てろ。“バカミ”」
『ふん！遂に知能もゴキブリ並みとなったか。“ゴキタン”』
噴いて笑いだしたクロロに空の花瓶を投げつけてから目の前にいる阿呆女に殴りかかった。
「そろそろ移動するぞ。５日滞在した」
Aと拳を交わしながら頷いた。こいつとの肉体言語ももう何度目になるか分からない。おおよその癖と型は掴んでいたのでこんなことは造作もなかった。
分かった、と二人同時に返事をしてしまう。それが気に喰わなかったが殴り合っている暇はなくなった。
「早く準備するよ。阿呆」
『知らないのか？神は予知ができるのだ。もう準備はできている！それよりもこの家の同族に別れを告げなくていいのか。ほら！今も壁に這っているだろう』
彼女が指し示しているのはもちろんゴキブリだ。傘の先でそれを潰す。
「馬鹿」
『陰険』
「気狂い」
『性悪』
「阿呆」
『根暗！』
「間抜け！」
『ゴキブリ！』
「馬鹿も間抜けも阿呆もお前らだ。さっさと行くぞ」
鶴の一声ならぬ団長の一声。いけない、この女と同レベルになってしまっていた。フィンクスの阿呆も移らなかったのに、この女の阿呆は移ってしまう。感染型の阿呆だ。そして阿呆菌の保有者であるこいつは末期の阿呆だ。
出来る限りの痕跡を消して隠れ家を後にする。向かうは飛行場。予めクロロが手配しておいた小型だがそれ故にスピードが出るヘリに乗り込もうとする。
「あ」
『あ？』
イルミ＝ゾルディックが今しがた着陸した飛行船から降りてきた。
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だいふくさん(プロフ) - 展開、夢主ちゃんの念能力の設定とても凝っていて凄いなと思いました。クロロの頭目らしい余裕ある思考や振る舞い、フェイタンの少し不器用なところがたまらんです。イチゴさんの文章がとても好きです（語彙力無くて上手く表せないのですが）。これからも応援しています (2019年1月31日 21時) (
レス) id: e941665527 (このIDを非表示/違反報告)
コンパイルエラー(プロフ) - 続きが早く読みたい！ (2019年1月21日 14時) (レス) id: 8e7827f170 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 楽しみに待ってます！ (2018年10月21日 19時) (レス) id: 2f8f38bf2c (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - 続編、それも原作沿いとわかり、狂喜乱舞しております。主の性格も、回りとの関係性も大好きなのでとても嬉しいです。3月４月？勿論待ちますとも。イルミとクロロとの会話でニヤニヤしました。 (2018年10月7日 19時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - 復帰楽しみに待ってます。イチゴさんの作品は全部好きで読ませてもらってます。この作品も大好きです。続きが読める日を楽しみに待ってます！ (2018年10月7日 14時) (レス) id: 2f4db1a1c5 (このIDを非表示/違反報告)
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