ステゴロ最弱【東卍】

ナホヤともしたい ページ9

急かすようなコール音に急いで相手の名前を確認すると、「ナホヤ」と表示されていた。まって、まだ心の準備が出来てないのに！


だがここで待たせても良くないことしか起きないので、意を決して通話ボタンを押す。もしもし…と発した声は多分震えていた。


「よぉ、アングリーに聞いたぜ」


「あ、そそそその節は大変申し訳ございませんでした…」


「まさかマジで忘れてるとは思ってなかったワ」


「うぅ…ごめんなさい…この埋め合わせは必ずしますのでぇ…」


「言ったな？明日の放課後空けとけよ。んじゃ、おやすみ」


「え、」


思わず半泣きになる私に、言うだけ言ってプツリと通話を終わらせるナホヤは何か企んでいるに違いない。多分今、彼のいつものニコニコ笑顔はより深まっているんだろうな。機嫌の良さそうな声に何か嫌な予感がする。何させる気だろう…まさかサンドバッグの刑とか…いや、私じゃ反射的に避けちゃうしサンドバッグにはなれないと思うけど。


電話に出ても出なくても結局逃げ道なんてないじゃん…なんてがっくり肩を落とすが、そもそも私の記憶力のせいでこうなっているので文句は言えない。


考えて答えを出してみても、ナホヤがピンポーンなんて言って答え合わせの電話をかけてくるなんてこともないので、ぐるぐる回る思考から逃げるように目を閉じる。もういいや。明日のことは明日の私に考えてもらおう。

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