▼セッター ページ31
「んー…、あとはセッターか。俺やりてーけど外から見てなきゃだしなぁ。お前らの方からセッター一人貸してくれ!」
うちのセッター二人の動きが止まる。
ほんの一瞬の沈黙のあと、スガが町内会チームの方へと歩みを進める。
「菅原さん!俺に譲るとかじゃないですよね。
菅原さんが引いて俺が繰り上げ…、みたいのゴメンですよ。」
影山の言葉を受け止めると、スガは一言一言噛み締めるように話し出す。
「圧倒的な実力の影山の陰に隠れて、安心、してたんだ…!」
スガの言葉はとても重くて、そして苦しいものだった。
突然現れた天才に、次々と奪われていく苦しみはどれほどのものだったのだろう。
俺なんかに理解することなんて絶対できない領域。
キッと顔を上げて旭と目を合わせる。
「もう一回、俺にトスあげさせてくれ。旭!」
影山のセットアップも好きだけど、俺はそれに負けないくらい二年間ずっと見てきた、スガにしかあげられないトスが大好きだ。
ふっと笑みを漏らすと清水も同じだったようで、隣からも笑い声が聞こえる。
目が合って笑い合う。
「さいっこーのセッターだよ。スガは。」
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作者名:ことり | 作成日時:2015年3月7日 15時