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in 潜入先
桃「いらっしゃいませ、何名様でご利用でしょうか」
緑「1人で」
桃「1名様ですね。カウンターとテーブル、どちらをご利用なさいますか」
緑「んー、カウンターで」
一目見るだけではただの寂れた路地裏。だがドアを開ければ雰囲気は一転、怪しいBARへと早変わり。
桃「かしこまりました。お好きな席へどうぞ」
緑「ありがとう」
ウエイターと客_____に扮したコタロウとミナトは言葉を交わす。怪しい素振りなんて微塵も見せず、慣れたようにミナトは席へと移動する。
緑「マスター、マティーニを」
「かしこまりました」
まずは1杯、と定番のカクテルを注文する。その間コタロウは店の床をせっせとモップ掛け___しているように見せかけて、客層を見極めていた。
桃「〜〜♪〜♬♪〜〜♩♩♩〜」
ただ脈絡もなく、最近の流行りの曲を繋げただけのようなメロディーの鼻歌。
それは、アジトに残るメンバーへの暗号だ。
コタロウとミナトの耳には小型のインカムが仕込まれている。それぞれ髪で隠れている上に、本当に小型なので見つからないが。それが、アジトと2人を繋ぐ、言わば命綱だ。
________________________
in9区アジト
黄「〜〜♪〜♬♪〜〜♩♩♩〜」
赤「なるほど、りょーかい」
青「おっけー」
コタロウの鼻歌を1音のズレもなくサツキが歌い上げる。僅かな差でも命取りなこの暗号は、耳が良く、かつそのままの音程を発声できる人が仲介に居ないと成り立たない。この点において9区でサツキの右に出るものは居ない。
黄「初日だし、怪しい人居ないよね〜」
青「うーん、まぁな」
赤「そうホイホイ見つかんないよね」
青「じゃあ、キヨハルに連絡いれるか」
初日に収穫がないのはいつもの事。怪しまれてもいけないので、今日のところはここまで、とケイイチロウが連絡を入れる。
紫「はい。もう終わり?」
青「キヨハルー、おつかれー。うん、今日はもう終わり。そもそも長丁場の予定だし」
紫「了解です。今から車回して戻るね」
青「はーい、気をつけて」
はぁ、とため息をつくのは他の二人も同じ。先にも言ったように、初日に収穫がないのはいつもの事だ。が、あまりにも無さすぎる。
青「これは、長くなるなぁ」
独り言は、大きく部屋に響いた。
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nana(プロフ) - 分かりました。ありがとうございました。これからも頑張ってください。 (2021年7月30日 16時) (レス) id: 4abcb9df84 (このIDを非表示/違反報告)
珠乃(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます。とてもいい案だと思ったのですが、自分が考えている設定と矛盾する点が出てきてしまうので、申し訳ないのですが……。ご期待に添えず申し訳ありません。稚拙ではありますがこれからもご愛読していただけると幸いです。作者より (2021年7月21日 23時) (レス) id: 3737864907 (このIDを非表示/違反報告)
N - 案なんですけど番外編とかで新メンバーを作ってその新メンバーがボスを追い詰めて「殺さないから一人の僕を仲間にしてほしい」というそれで仲間になる。みたいなやつどうですか? (2021年7月10日 20時) (レス) id: 4abcb9df84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:珠乃 | 作成日時:2021年4月8日 16時