9bicのマフィアパロ

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キヨハルside

スコープを覗く。引き金を絞れば、ガラスが1枚砕け散る。割れる音はインカムから聞こえてくる。だからまるで目の前のガラスを割っているような感覚になる。

紫｢良いのかなぁ、、｣

ガラスを割れば部屋の中の音は漏れる。発砲音を恐れて、銃が使いづらくなる。相手の飛び道具を抑える戦略は、コタロウにも不利だ。

紫｢まぁ大丈夫やろ｣

少なくともそこら辺のやつよりかコタロウは強い。たとえ素手でも。

パリン

軽い音がインカムから流れる。教会のステンドグラスが砕け散る。まるで塗り絵を逆再生してるみたいに、枠だけが残っていく。

紫｢なんか、、楽しい、かも｣

思わず口を塞ぐ。生まれてから、この仕事が楽しいなんて思ったこと無かったのに。引き金を引く手が止まる。

青｢最っ高に楽しーだろ？｣

インカムからボスの声が聞こえる。

紫｢そう、だね｣

声が震える。手も震えている。震える手を引き金にかける。

紫｢最高に興奮してるかも｣

自分でも口角が上がっているのが分かる。あぁ、やっぱり俺はこの仕事じゃなきゃダメなんだ。

緑｢もう戻れんよ｣
紫｢何が？｣
緑｢いや、なんでも｣

ミナトの声に分からないフリをして返す。いつだっか、ミナトに言われたことがある『なんで自分から堕ちてくねん』って。小声やったし聞こえてないと思ったんやろうけど、ちゃんと聞こえてんで。あれから考えたけど、よう分からんかった。けど、今日わかった気がする。

紫｢ここが居心地ええんよな｣

自分でも少し笑ってしまった。仲間のためとか烏滸がましい。俺は自分のために、自分の居場所を奪われないために堕ちていくんや。ごめんな、ミナト。俺はお前が思ってるほど、仲間想いではないで。そっとインカムのマイクを切る。

紫｢誰にもこの場所を取られたくないだけや｣

ステンドグラスの最後の1枚が砕け散った。

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