もしもの話をするのはやめにしよう (ページ11)

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「さっむ…」

冬の午後23時、そりゃ寒くないわけがない

家帰ってもドンヒョクいるし、
いや別にいいんだけど慣れたから

そうじゃなくてなんか、いたたまれない

手と一緒にポッケの中に入れていた携帯が震える

[着信:ジェノくん]

…今出たら私潰れないかな、

出れないまま1回目の呼び出しが終わる
まもなく2回目の呼び出し

久しぶりに声を聞くのはいい…よね

2回目の呼び出しも終わりそうなギリギリで出る

「もしもし、？」

JN『Aだー、元気？』

「いつも通りかな」

JN『そこはね、俺がいなくて元気ないって
言うところなんだよ。ほら言ってごらんなさい！』

電話だといつもより少しほんの少しだけ
低く掠れて聞こえるジェノくんの声

外の冷たい空気とは正反対で暖かい

ジェノくんってどんな人って言われたら
きっと暖かい人って答える

「うん、寂しいよ」

JN『…外？風の音聞こえる』

「散歩してるの」

JN『残業でもないのにこんな時間に1人で歩くなんて、
なんで俺を呼ばないの？電話かけなよ。危ない…』

あー、ダメだ。

全部を受け止めてくれようとしてくれるこの人に
今すぐ会って抱きしめてほしいなんて思ってしまう

でも、どうしたって私が好きなのは

優しくて甘くて笑顔の可愛いジェノくんじゃなくて

腹立つしたまにしか優しくないし謎だらけだけど
不器用だったけど、実は一生懸命に思ってくれる
変なドンヒョクなの

「ジェノくん、帰ってきたらお話しよう？」

JN『…今じゃダメな話なんだね』

「うん、ちゃんと目見て伝えたいから」

JN『わかった。でも、今日はとりあえず帰りなさい。
どうせドンヒョクがいるんだろうけど、この時間は
ほんとに心配だから家に入るまで切らないで！！』

テレパシー使いのジェノくん。

全部わかってる…？わかってて優しいの？

ずっと電話を繋いだまま話してくれる

この声だけは忘れなくてもいいですか、神様