STORY☆60 ページ10
『終わりにしようゾム』
…終わり？終わりってなんやっけ。
密閉された狭い観覧車の中にはやけにAちゃんのその言葉が響くから、俺に繰り返し"終わり"を告げているみたいで思考が正常に働かない。
自分から終わりを告げる予定だったのが、Aちゃんに告げられただけ。
終わりを迎える日が想定よりも早くなっただけ。
それだけの事なのに、終わらせる予定だったはずなのに、何で俺は…
zm「終わりたない。終わらせんで…お願いやから」
Aちゃんを引き止めているんだろう。
引き伸ばしたって結局は終わりを迎える事になるのに、伸ばしたらその分また苦しい時間は続くのに…ごめんなAちゃん。
それでもまだ一緒に居たいんや。
『…ゾム。手、離してよ』
どちらも口を開かず2人の足音だけが響く遊園地の帰り道、Aちゃんの家を通り過ぎた時にAちゃんは足を止める。
zm「離さへん。離したらこのまま終わりにする気やろ？」
振り返らない。振り返った先に居る君の表情を見るのが怖いから。
Aちゃんは俺の問いに応える事はなくて、俺が歩き出せばAちゃんも歩き出す。
Aちゃんの家から15分近く歩いて辿り着いた場所を目の前に、Aちゃんは戸惑った顔をしているけどそれを無視して、
zm「今日は帰さへんから」
俺はAちゃんの手を引いて、21時を過ぎた暗い家の中に一緒に入った。
『私、帰る』
Aちゃんは玄関から動かないAちゃん。
zm「3日間俺に時間くれる言うたやん。Aちゃんにその時間返す気無いねん」
弱々しい力で俺の手を離そうとするけど、
zm「…Aちゃん家帰ってあの部屋で1人で寝れるん？」
狡い俺のその言葉にAちゃんの指先は震えている気がした。
zm「中にあるん適当に使って。タオルと着替え置いとくな」
『…うん』
Aちゃんを風呂に促して1人になった部屋で、俺は乱雑に髪をかき乱しながらソファに座る。
無理やり此処に留まらせた所で結末は変わらない。
Aちゃんへの気持ちも、俺が迎える運命も変わらない。
それなら、あと少しだけ君と一緒に居させて欲しい。
少ししてから俺の服を着たAちゃんが風呂から出て来て、この気まずい空気に反してドキッとしてしまう。
それを悟られないようにドライヤーをAちゃんに手渡して、「適当に座っとって」なんて言葉で誤魔化して風呂場に逃げた。
まだ終わらせんで。まだ一緒に居って。まだ…俺の隣で笑って。
狡くて馬鹿で我儘な俺を、許して欲しい。
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呉城 莉李。(プロフ) - さくさん» さく様コメントありがとうございます(*^^*)テスト期間はストレス溜まりますよね、お疲れ様です。番外編などでもう少し続いていくので、もしお暇はお時間ありましたら、お読みいただけたら幸いです(_ _*)) (2022年11月23日 10時) (
レス) id: 7f13b99d76 (このIDを非表示/違反報告)
さく - ええ話ですね。つづきがあるかもですが、ひとまずよかったです！読むはじめて損しませんでした！テスト期間でイライラすることが多かったのですが素敵な話でスッキリしました。またちょくちょくみに来ます。大好きです。 (2022年11月22日 21時) (レス) @page22 id: 7d60a27ef9 (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ひよこさん» ひよこ様コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいお言葉ばかりで、私もひよこ様のコメントに泣きそうになりました。お時間いただきありがとうございます！もうすぐ完結なので、またお暇な時にでも覗いていただけましたら幸いです(_ _*)) (2022年10月21日 22時) (レス) id: 4f45722e46 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - 初コメント失礼します。今日初めて読んだのですが、泣きました。号泣しました。こんなに心に刺さったのは初めてです。本っっっ当に大好きです、更新楽しみにしています！ (2022年10月21日 21時) (レス) id: 82efcbbf1e (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ねう。さん» ねう。様コメントありがとうございます！私も自分で執筆していて完結に近付いていくのが寂しく思っていたので、そのお言葉とても嬉しいです(；；)！更新頑張りますね！ありがとうございます(*^^*) (2022年9月26日 7時) (レス) id: d747e32ce0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：呉城 莉李。 | 作成日時：2022年9月22日 12時
