STORY☆62 ページ12
2日続けて誰かの温もりと共に眠る夜はあっという間で、俺も存外寂しかったのかもしれない。
俺の隣で安心して眠るAちゃんの頬に触れたら、
『…ゾム？おはよう』
朝日なんかよりもよっぽど眩しい笑顔で笑ってくれるんだ。
好きって言ったら好きって返してくれる。
笑ったら笑い返してくれる。
君が泣いたら俺も悲しいし、君が笑ったら俺も嬉しい。
こんなに大切な女の子が俺の元に現れるなんて思わなかった。
覚悟なんてとっくに決めてたし未練なんて残すつもり無かったのに、何で俺は今こんなにも泣きたくて仕方ないんだろう。
zm「Aちゃん。我儘言ってもええ？」
『うん。もちろん』
あと少しだけ俺の我儘に付き合ってや。
『休みの日って学校入れるんだね…』
zm「流石に生徒は入れへんよ。せやから、バレへんようにな」
日曜日も仕事のある先生が校内に入る為に、1箇所だけ施錠がされていない出入口があるのを知っていたから、Aちゃんと一緒にこっそりと校内に侵入する。
『散々通い慣れた学校なのに、人が居ないだけで知らない場所みたい』
zm「せやな。悪い事してる気分やな」
『気分じゃなくて、悪い事してるんだよ』
誰も居ない静まり返った廊下には俺達2人の足音と話し声しか聞こえないから、Aちゃんの言うように知らない場所へ来たみたいに感じられて、それから取り残されたような気持ちにさせられた。
あまりにも静かな学校は、まるでこの世界に俺達2人だけになったような錯覚に陥り、それが現実になれば良いのになんて馬鹿な事を思う俺は、自分のタイムリミットが迫っている事に怖くなってきてしまった証拠なのかもしれない。
...怖い？そうか、俺怖いんや。
この世界から消える事ちゃう。死ぬ事が怖いんとちゃう。
泣き虫の君を1人残して先に居なくなる事が、愛おしい人の温もりから離れる事が怖いんだ。
『...ゾム？』
無意識にAちゃんを抱きしめていて、困ったようなそれでいて温かい声で俺の名前を呼ぶAちゃん。
抱きしめると抱きしめ返してくれるこの温もりから離れたくない。
zm「Aちゃん。俺の名前呼んでや」
『ゾム』
zm「もう1回」
『...ゾム』
俺はこの後何度もこれを繰り返したのに、君は嫌な顔1つせずに何度も応えてくれて、君が俺の名前を呼ぶ度に"好き"って言われているみたいで鼻の奥がツンと痛くなったんだ。
外から運動部の声が聞こえる2年の教室前の廊下、俺とAちゃんの影は1つに重なった。
あと2日。
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呉城 莉李。(プロフ) - さくさん» さく様コメントありがとうございます(*^^*)テスト期間はストレス溜まりますよね、お疲れ様です。番外編などでもう少し続いていくので、もしお暇はお時間ありましたら、お読みいただけたら幸いです(_ _*)) (2022年11月23日 10時) (
レス) id: 7f13b99d76 (このIDを非表示/違反報告)
さく - ええ話ですね。つづきがあるかもですが、ひとまずよかったです！読むはじめて損しませんでした！テスト期間でイライラすることが多かったのですが素敵な話でスッキリしました。またちょくちょくみに来ます。大好きです。 (2022年11月22日 21時) (レス) @page22 id: 7d60a27ef9 (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ひよこさん» ひよこ様コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいお言葉ばかりで、私もひよこ様のコメントに泣きそうになりました。お時間いただきありがとうございます！もうすぐ完結なので、またお暇な時にでも覗いていただけましたら幸いです(_ _*)) (2022年10月21日 22時) (レス) id: 4f45722e46 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - 初コメント失礼します。今日初めて読んだのですが、泣きました。号泣しました。こんなに心に刺さったのは初めてです。本っっっ当に大好きです、更新楽しみにしています！ (2022年10月21日 21時) (レス) id: 82efcbbf1e (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ねう。さん» ねう。様コメントありがとうございます！私も自分で執筆していて完結に近付いていくのが寂しく思っていたので、そのお言葉とても嬉しいです(；；)！更新頑張りますね！ありがとうございます(*^^*) (2022年9月26日 7時) (レス) id: d747e32ce0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：呉城 莉李。 | 作成日時：2022年9月22日 12時
