▼STORY.16 ページ16
『...私寝ちゃったんだ』
目を覚まし辺りを見渡すとほんのり薄暗くなった部屋。
握ったままの鬱くんの手はまだ熱が残りほんのり汗ばんでいる。
(また男の部屋で寝るのは無防備とか言われちゃうよね...)
そんな事を思いながら、気持ち良さそうに眠る鬱くんを起こさない様にそっと手を離し、薬と軽く夕食を持ってこようと扉に近付く。
ドアノブに手を掛けドアを開ける瞬間、
ut「.....どこ行くん？」
低く掠れた声に反射的に肩がビクッと跳ねてしまう。
振り返ればベッドから上半身を起こした鬱くんが、未だにふらつきながら私を見ていて、その表情があまりにも寂しそうだから胸がキュッと痛む。
『お薬とご飯持って来ようと思ったんだよ』
そう伝えればフラフラした足取りで私の元まで歩いて来ようとするから、私は鬱くんに駆け寄る。
駆け寄った私を引き寄せて、鬱くんは私の肩に頭を乗せながら背中に手を回して力なく抱き締めた。
ut「行かんで.....側におってや」
甘えるような声で話す彼の吐息が首筋にかかり、いつもより近い鬱くんの声に私まで体温が上がりそうだ。
鬱くんなのに、違う人のような空気感に私は戸惑ってしまう。
『鬱くん側に居るよ。でも、お薬飲まないと...』
別人のような鬱くんから逃げたくなり、私は口実を吐いて部屋から出ようとする。
そんな私に鬱くんは気が付いたのだろう。
ut「...Aが居ってくれればええから」
『.....っ』
私の肩に乗せていた顔を上げて私の目を見て言う鬱くんはとても狡い。
狡過ぎるよ...こんな時にその言葉を言われたら、本心だって錯覚してしまう。
私が欲しかった言葉を言ってくれる鬱くんに縋りたくなってしまう。
そんな我儘な甘えた私が顔を出しそうになってしまう。
鬱くん...
誰かに必要とされたい、愛されたい...そんな私の気持ちにいつから気がついてた...？
『...此処に...いるよ』
結局絆されてしまうんだ。
私は弱いから。
ut「...ん、ありがとう」
いつもと違う雰囲気を纏う鬱くんに私は何も言えないまま、またさっきと同じ様に手を握るだけで精一杯だった。
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呉城 莉李。(プロフ) - ともさん» こんばんは！コメントありがとうございます^^*確認させて頂きました所、主人公のセリフだった為修正させて頂きました！気が付かなかったので教えて頂けて助かりました（ ；∀；）ありがとうございます！ (2018年11月11日 19時) (
レス) id: 96018d2087 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 初めまして。小説の投稿お疲れ様です。１つ質問させてください。【STORY.13】の「お待たせ。〜」の台詞がグルッペンさんになってるんですけど、主人公であってますか？ (2018年11月10日 5時) (レス) id: 327d15f941 (このIDを非表示/違反報告)
パス(PASU) - 呉城 莉李。さん» いえいえ!!! 更新、お疲れ様です!!! (2018年8月16日 21時) (レス) id: e5858196b1 (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - パス(PASU)さん» わざわざありがとうございます（ ；∀；）探してみますね！笑笑 (2018年8月16日 16時) (レス) id: 2c8da04070 (このIDを非表示/違反報告)
パス(PASU) - 呉城 莉李。さん» 覚えてないです… ただただ可愛かったのを覚えています((((((( (2018年8月16日 5時) (レス) id: e5858196b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：呉城莉李。 | 作成日時：2018年4月1日 11時
