▽STORY.12 ページ12
Aと出会った日はその年の冬の中で1番寒く、風が肌に突き刺さり酷く冷え込む日だった。
幼いながらに両親と折が合わず、家を出てから友人であるグルちゃんの優しさに甘え、屋敷に一緒に暮らすようになった。
それから少しして、コネシマ、トン氏と順番にそれぞれの事情を抱えながらこの屋敷で一緒に生活し始めた。
Aと出会ったのは、その生活が定着して数年が経った時。
あの時の彼女の姿は、7つか8つだった俺には痛く衝撃的だった。
白い肌には痛々しい痣や赤黒い内出血を浮かべ、ボロボロの薄い服に身を包んんで足元は素足。
辺り一面雪で真っ白の中、寒さに身を縮めていた彼女はそのまま雪の白さに同化しそうなくらい消え入りそうに見えた。
周りの大人は彼女の存在に気が付いているのに通り過ぎていくだけ。
自分には関係がない。何も見ていない。
そんな風に、自分の都合のいい様に記憶から彼女の存在を消し、何も無かったかのように去っていく。
だから、大人は嫌いなんだ。
彼女にゆっくりと近づくと俺よりも少し年下ぐらいの女の子が、声も上げずに静かに泣くその姿に切なくなった記憶がある。
ut「寒くない？僕と一緒においでよ」
小さく肩を揺らした彼女はゆっくりと顔を上げると、遠慮がちに俺と目を合わせた。
瞳には涙をいっぱい溜め、どのくらい泣いたのか分からないほど彼女の目は真っ赤で。
恐る恐る俺が差し出した手を握る彼女の手は、氷でも掴んでいるかのように冷たくて。
この子を守ってあげたい。そうあの時強く思った。
何も言わずに屋敷にAを連れて来た俺を見て、初めこそグルちゃんは驚いた顔をしたが、何も聞かずに使用人に着替えと風呂の用意をさせた。
gr「ここに居ればええよ」
ut「僕達が一緒におるよ。だからそんなに泣かんで？」
そう言えば、再び涙を流すA。
あの時のことは、決して忘れない。
あの日から、Aを守りたい。その気持ちに変わりはない。
だから、Aの笑顔を奪い、壊す奴は絶対に許さない。
命に変えても、あの笑顔は守り抜く。
『鬱くん、私あの日の夢見たよ』
Aはそう言いながら俺の目を見て、
『私を連れ出してくれてありがとう』
と笑った。
ut「…いーえ」
Aは知らんでええ。
俺が此処にAを連れて来たのを後悔してる事なんて。
此処に連れて来なければ俺だけが独り占め出来たのに。
他の奴がAを好きになる事なんて無かったのに。
シャオちゃんが…Aにキスする所なんて見なくて済んだのに。
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呉城 莉李。(プロフ) - ともさん» こんばんは！コメントありがとうございます^^*確認させて頂きました所、主人公のセリフだった為修正させて頂きました！気が付かなかったので教えて頂けて助かりました（ ；∀；）ありがとうございます！ (2018年11月11日 19時) (
レス) id: 96018d2087 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 初めまして。小説の投稿お疲れ様です。１つ質問させてください。【STORY.13】の「お待たせ。〜」の台詞がグルッペンさんになってるんですけど、主人公であってますか？ (2018年11月10日 5時) (レス) id: 327d15f941 (このIDを非表示/違反報告)
パス(PASU) - 呉城 莉李。さん» いえいえ!!! 更新、お疲れ様です!!! (2018年8月16日 21時) (レス) id: e5858196b1 (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - パス(PASU)さん» わざわざありがとうございます（ ；∀；）探してみますね！笑笑 (2018年8月16日 16時) (レス) id: 2c8da04070 (このIDを非表示/違反報告)
パス(PASU) - 呉城 莉李。さん» 覚えてないです… ただただ可愛かったのを覚えています((((((( (2018年8月16日 5時) (レス) id: e5858196b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：呉城莉李。 | 作成日時：2018年4月1日 11時
