炎の花 【煉獄 杏寿郎】

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「その鬼は…隊士…確か溝口という！その溝口少年の妹らしい。溝口妹は人を喰わない、襲わないのだ。」

『そんなのどうとでも言えるじゃないですか！妹なら尚更庇います！』




私の家族は、町で付き合いのあった家族の夫であった人に殺された。

その家族は、夫が鬼である事を隠し夜な夜な人を喰らっていた事を黙認していたのだ。

自分たち家族の事は襲わないから、家族としての記憶があるから、と。

1日1人〜5人、町から忽然と姿を消すのだ。

その家で喰らうと、痕跡が残るから、攫った後裏山深くに行き跡形もなく喰らうのだ。
今思えば血鬼術を使って攫っていたのかもしない。

残るのは、血痕のみ。
その血痕は、雨と共に流される。

だから、皆なかなか気付かなかった。
神隠し、人攫い、夜逃げ、どれかなのではないかと。


私達の家族も、攫われた。
私の目の前で、父、母、姉、兄と喰われた時に、師匠が助けてくれた。




「もちろん、反対もした。だが、溝口妹は不死川に三度刺された後、不死川の血が流れた腕を差し出されても自我を保ち、喰らいつく事はなかった。これで、証明されたのだ。
それと、もう2年以上前から人を喰らった事はないらしい。
もし襲うようなことがあった時は、腹を切ると、元水柱で現育手である、鱗滝左近次殿と冨岡が名を挙げた。もちろん、兄の隊士も腹切りは必然だ。」


『どうして、鱗滝様と冨岡様が責任を？』

「隊士の溝口少年を育てたのは、鱗滝殿。その鱗滝殿に育手を頼んだのが冨岡だ。溝口妹は、他の鬼と違うと2人して容認していたのだ。」

『…反対するのであれば、同等のものを差し出さなければならないでしょうし…。その、溝口妹がこれから先、人を襲わなかった場合、こちらが切腹する事になるのもおかしな話ですもんね…。』

鬼は死なないのだから、その襲わなかったという期間を決める事になるだろう。
もし、仮に5年とするなら、5年間、人を襲わなかったら、切腹…？
最低でも反対派だった2人は切腹しなければならないからだ。

稀血にも耐えたと言うことは、早々に襲うこともないだろう…




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