炎の花 【煉獄 杏寿郎】

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今日は、緊急の柱合会議の為に師匠は朝早くから出掛けて行った。
帰りは何時になるんだろう。
夜、私は宛てがわれた任務をこなし屋敷に戻った。


玄関に立つと居間の方から灯りが漏れていた。

師匠も千寿郎も、帰宅の音に気づいた時は出迎えてくれる。

消し忘れだろうか…？

千寿郎は、夜動く私達が帰って来た時すぐに、何かお腹に入れれるように夜食を作ってくれている事があるからだ。
その時、消し忘れたのだろう。

本来なら夜食などは、私が師匠の為にしなきゃいけないのに…

師匠は柱になった時、師匠の屋敷を譲り受けた。
だが千寿郎と槇寿郎さんの事も気になるからと、師匠と話し合った結果、出来る限りはこちらの屋敷に帰ることになった。

槇寿郎さんも柱だったので、寝泊まりするにも、鍛錬する場所にも、申し分ない広さがある。

拾われてからずっと居候させて貰ってるので、今更新しい屋敷っていうのも落ち着かないという所もあったし…

槇寿郎さんがどう思っているかは分からないが、師匠に拾われてから一度も出て行け！などは言われた事はないから、良いんだと勝手に思っている。


まぁ、この屋敷に帰ってこれるのは、月の半分くらいしかないが…

遠征任務などで、一晩で終わらない事が多いし、怪我をしたら、蝶屋敷だ。

ひとまず、鬼の返血に染まった、隊服のまま居間に行く訳にもいかず、先に湯浴みをすることにした。


寝間着に着替え、手拭いで髪を拭きながら居間に向かった。

誰も居ないと思っていたその部屋には、


『師匠…？』


着流し姿の師匠が、机に突っ伏していた。

机の上には、開いた本があった。
大方、読書しながら寝てしまったのだろう。

近付こうと歩みを進めると、小さくギシリと床が音を立てたその音に


「しまった！寝てしまっていた！」


と反応したのは師匠で、ガバッと飛び起きた。


『…ひっ！？』


眠りが浅かったのもあるだろうし、寝起きが良いのも知っていたが起きると思っていなかったので、私は小さく悲鳴をあげた。

その声にこちらを見た師匠は、


「すまないな！驚かせてしまったようだ！今日も任務ご苦労だった！今日の柱合会議で伝えなければならない事があって、読書しながら待っていたのだが、いつのまにか寝ていたらしい！」

よもや、よもやだ！穴があったら入りたい！

起き抜けにそんな事を大声で言うものだから、私は慌てて

『師匠！2人が起きてしまいますよ！少し声量をお控えになった方が宜しいかと…』

と、諭した。

むう。と少し恥ずかしそうにした師匠が可愛いと思ったことは秘密にしておこう。






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