炎の花 【煉獄 杏寿郎】

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長椅子に座り、缶コーヒーを手に床をぼーっと見つめ、時たま鼻をすする隣の女性に声をかける。


「Aさん、落ち着きました？」

『ごめんなさい、千寿郎君…。』


そう、兄さんのお嫁さんのAさんだ。


今日の撮影は兄さんは不在。
というか、兄さんは一足先にクランクアップを迎えたため、もう撮影現場に姿を表す事はない。



今日の撮影は、師匠の死を再確認させられ、自身の無力さに涙を流し、父に叱咤されるシーンだった。


僕とまた一緒に泣き続けて撮影は無事に終了出来たんだけど…



『ごめんね、感情移入し過ぎ！って話だよね…』


ごめんね…と、俯きながら小さな声でポツリと零した。


涙が止まらなくなって、今、僕とこうして落ち着くのを待っていた、と言うわけだ。


「大丈夫ですよ。今日の撮影はこれで終わりでしたし。撮影に影響は無かったんですから！！マネージャーさん、呼んできま…」


すね。と言おうとしたが、言い止まった。



『…？どうしたの、千寿郎君。』



と、顔を上げたAさんを迎えたものは…





「A、帰ろう。」




兄、煉獄杏寿郎だった。





『…きょ、じゅ…ろうさん…？』


「あぁ！俺は此処にいるぞ！！」



Aさんはバッと立ち上がり、兄の元へと駆けて行く。

兄さんは、駆け寄ったAさんを抱きしめ、ぽんぽんと頭を撫でた。



「お疲れだったな！今日は牛すき鍋でも食べに行こう！」

『…はいっ！！』

「千寿郎もどうだ！！父さんと母さんにも声を掛けてある！」

「はい！是非！！」





夫の呼吸 伍ノ型 平安




番の呼吸 玖ノ型 奥義 一家団欒









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