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『…っ、!?!?』
「そんなに怖がらなくて良い、良い。
あれらは、呪物じゃない。」
じゃあ、何なの!?
自分の声が出ない分、心音が呼吸音が、やけに耳につく。
その事が更に、自身の恐怖を煽る。
そうだな…と、男は沢山の物が並ぶ場所へ移動し、1つのものを手に取った。
「例えばコレは、数百年前の偉大な術師の心臓だ。」
ホルマリン容器に入ったそれを私の目の前に翳した。
何か特別な保存方法になっているのだろう。
人間の心臓にしては随分小さい物だったが、心臓だと分かるそれに、吐き気がこみ上げる。
『…っ、』
「儂の家系は反転術式に特化した家系で、活躍してきた。その結果がこの臓器達だ。」
ズラッと並ぶ、ホルマリン容器に入った物たちをウットリと見る男に鳥肌が立つ。
「だが、その血筋も今や衰退の一途を辿っておる。その事が情けなくて、情けなくてのぉ。
それに、一度は御三家の奴らに目の物を見せてやりたいのだ。それが家の主人としての役目だと考えとった。
だが、何も叶わぬまま、儂も生涯を終えることになるかと思った。
そんな時にお主の存在だ!!!
天の思し召しだと感じた。
今、再び、あの偉大な呪術師を復活させろとな!!
五条悟と同じ六眼と無下限術の抱き合わせの子をお主が産めば、儂らの時代がやってくる。」
愉快だ、愉快だ。と、嗤う。
「しかし、まずは実験だ。最初からコレは試さん。呪物と違うからな。子を宿す条件も違うやもしれん。子種が必要ならば、儂のを注いでやるぞ?」
その男の手が私のねっとりと身体を撫ぜる。
恐怖のキャパはとうに限界を超え、思考は完全に止まっていた。
怖い
恐い
強い
コワイ
宿儺…つ
助けてっ!!
「…まずはコレだな。」
先ほどの心臓を仕舞った男は、数ある中から1つのものを選び出した。
ガタガタと震える身体を自身で抱く事も出来ず、ただただ、口を頑なに結ぶ事しか出来ない。
「口を開けろ。」
ホルマリン容器から取り出した何かを手に取り近付く男。
『…っ!』
嫌だと、首を振るしかなかった。
「仕方がないのぉ。五条悟に伝えれば良いのだな?両面宿儺が受肉しておると。」
『…!』
それも嫌だと首を振る。
「ならば、やる事は分かっておるだろう?」
私の口元に、モノを近付ける。
僅かに口を開くと、恐怖に歯がガチガチと鳴った。
「もっと、口を開けんかっ!」
指を差し込まれ、口を無理やり開かされる。
「ちゃんと、飲み込めよ。」
その言葉と一緒に、ソレはベチャリと、落ちた。
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こっちゃむ(プロフ) - 朧さん» 朧様、コメントありがとうございます!(^^)夢主さんイカれてますので、食べちゃいましたねw 神作品と言って頂けて本当に光栄です。涙までっ!こちらこそ、感謝の気持ちでいっぱいです!また、別の作品で会えることを願ってます!読んで頂きありがとうございました(*^^*) (2021年2月14日 22時) (レス) id: 04ce2c00fd (このIDを非表示/違反報告)
朧 - こんばんは!神作品を作っていただきありがとうございます。夢主が宿儺の指を食べた所は「え、それヤバナイ?」と思いましたwでも後でまた生きてくれてて良かったと思いました!過去編もめっちゃ泣けました。本当にありがとうございました! (2021年2月13日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - 猫人さん» 猫人様、コメントありがとうございます!(*^^*)数ある作品の中から目を通して頂けるだけでも光栄なのに、一気見、神作と、お褒めの言葉、大変嬉しく思います(*^^*) 最後までお付き合い頂きありがとうございました!(^^) (2020年12月29日 10時) (レス) id: 04ce2c00fd (このIDを非表示/違反報告)
猫人(プロフ) - 設定やストーリーがしっかりしていて一気に見てしまいました!とてもおもしろかったです。神作をありがとうございます!! (2020年12月28日 22時) (レス) id: 06ea173e41 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - 雪丗さん» 雪丗様、いつもありがとうございます!この話は終わりは決まってたのです(^^) 書き置きにオチまで載せてしまうとあれかなーと思って載せなかっただけなので!なんて言うか、勢いで書き切りました!!また、改めてメッセージ読ませて頂きますね!(*^^*) (2020年12月16日 17時) (レス) id: 04ce2c00fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こっちゃむ | 作成日時:2020年12月14日 21時