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お腹が満たされれば良い。と思っていた私にとって、料理というものは、食べれる様に火を通す。その様な認識だった。
自給自足の生活だったため、質素な生活なのもあっただろう。
代わり映えのない食卓に、美味しさ、見栄えを求める事はしなかった。
なので宿儺にしてみたら、私の料理は
「お前、それが料理だと?」
そう言わせるほど酷いものだったらしい。
『…だって、誰も教えてくれなかったし。食べれれば、良い。』
恥ずかしくなった私は、もごもごと言い訳を言うしかなかった。
そんな私が面白かったのか、大口を開けて笑う宿儺。
「クハハハっ!!見ておれ。俺が教えてやる。まずは、包丁の握り方からだな。」
優しく手本を見せながら、1つずつ私に教えてくれるのだった。
包丁の握り方から始まり、魚のさばき方、野菜の下拵え。
上手くいかなくても褒めてくれたし、励ましてもくれた。
何より、2人で作って一緒に食べる、その事がとても幸せだった。
ーーー
「魚の捌き方は、知ってるか?」
『捌いたこと無い。丸焼きにして食べてた。』
「今日は、魚を捌く。まずは、鱗を取り除け。」
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『宿儺!!三枚下ろし出来た!!…不恰好だけど…』
隣で同じようにやっていた宿儺が下ろした魚に比べれば、悲惨なものだった。
にも関わらず、
「良い、良い。」
ぽんと頭を撫ぜて、優しく笑ってくれた。
また、ある日は
『…目が痛い。』
「ほら、頑張れ、頑張れ。玉ねぎなんぞに負けてどうする?」
調理の仕方を知っているから、もしかしたら宿儺の祖父は庖丁人だったのかもしれない。
それか、宿儺自身が貴族だったのか。
そんな事を考えた事もあったが、宿儺と此処での生活が心地良くて、変に詮索して嫌われたくなかったから何も聞かずに過ごしていた。
そんなある年のこと
「なぁ。俺の子を産んでくれぬか?」
珍しく顔を赤く染めた宿儺に、込み上げる気持ちが涙となり、頬を濡らす。
もちろん、私の答えは決まっていた。
『…っ、喜んで。』
そしてめでたく子を身に宿し、幸せを歩んでいた。
それなのに…
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こっちゃむ(プロフ) - 朧さん» 朧様、コメントありがとうございます!(^^)夢主さんイカれてますので、食べちゃいましたねw 神作品と言って頂けて本当に光栄です。涙までっ!こちらこそ、感謝の気持ちでいっぱいです!また、別の作品で会えることを願ってます!読んで頂きありがとうございました(*^^*) (2021年2月14日 22時) (レス) id: 04ce2c00fd (このIDを非表示/違反報告)
朧 - こんばんは!神作品を作っていただきありがとうございます。夢主が宿儺の指を食べた所は「え、それヤバナイ?」と思いましたwでも後でまた生きてくれてて良かったと思いました!過去編もめっちゃ泣けました。本当にありがとうございました! (2021年2月13日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - 猫人さん» 猫人様、コメントありがとうございます!(*^^*)数ある作品の中から目を通して頂けるだけでも光栄なのに、一気見、神作と、お褒めの言葉、大変嬉しく思います(*^^*) 最後までお付き合い頂きありがとうございました!(^^) (2020年12月29日 10時) (レス) id: 04ce2c00fd (このIDを非表示/違反報告)
猫人(プロフ) - 設定やストーリーがしっかりしていて一気に見てしまいました!とてもおもしろかったです。神作をありがとうございます!! (2020年12月28日 22時) (レス) id: 06ea173e41 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - 雪丗さん» 雪丗様、いつもありがとうございます!この話は終わりは決まってたのです(^^) 書き置きにオチまで載せてしまうとあれかなーと思って載せなかっただけなので!なんて言うか、勢いで書き切りました!!また、改めてメッセージ読ませて頂きますね!(*^^*) (2020年12月16日 17時) (レス) id: 04ce2c00fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こっちゃむ | 作成日時:2020年12月14日 21時