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そして、また何日か経った時、私はよく分からない状況に身を置いていた。
『…っ、離して!!!』
「お前には、来てもらう。」
何なの!?意味わかんない!!
突然追いかけ回され腕を掴まれ、来てもらうって何処によ!
有無も言わさず連れて行きたいのか、その言葉しか言わない。
『何処に!?誰が!?何のためっ!?』
「良いから、来い。宿儺を仲間に入れるためだ!」
『私の身柄を拘束した所で、宿儺は来ないわよ!!』
宿儺は、虎杖君の身体を自由に使える訳でも無いようだったし。
なにより、あの男が宿儺を自由にする訳がない。
相手の手を振り払おうとした時
「おい。誰の許可を得てAに触れる?不愉快だ。」
いつの間にか来た人物が、私の腕を掴んでいる男の手を捻り上げた。
その声は王たる威圧が漂うもので、男は反論の言葉すら口に出来なかった。
はくはくと口を動かすだけで、息をしているのかすら怪しい程だった。
「…ッケ。呪術師、分を弁えろ。この痴れ者が。」
男と私の間に守るようにして立つ、人物の名前を呼んだ。
『…すく、な、?』
「そうだ。俺が分かるか?」
振り返る彼にコクリと頷くと、
「いい、それでいい。」
そう言って嬉しそうに薄く笑い、私の頭を撫でた。
そして、男に
「二度は無いぞ。」
と言い放つ。
男がコクコクと首を縦に動かすと、手を離した。
そして、男は足を縺れさせながらもこの場を走り去っていった。
『宿儺っ!助けてくれて、ありがとう。』
向き合った宿儺と目が合い、フッと笑う宿儺。
そして、初めて会った時と同じように顔の模様が消えて
「……どこ、ここ。」
ポカンとした、虎杖君が現れたのだった。
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虎杖君は私の顔を見るなり、「あの時の!!」と声を上げた。
「もう泣いてない?悩み事無くなった?」
そう聞く彼に、私は本当の事は言えないだろう。
『うん。大丈夫。ごめんね、連絡しなくて。』
「ん?いーの、いーの。無理強いしたい訳じゃないから。ところで、ここ何処か分かる?駅まで行ければ多分帰れると思うんだけど。」
『…ふふふ、あははは!!良いよ、送ってあげる。』
彼の中の宿儺と少しでも一緒に居たかったから、少し遠回りをしたのは秘密でも良いよね?
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「大当たり」
この時私達を怪しく見つめる影があった事を、私達は知らなかった。
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こっちゃむ(プロフ) - 朧さん» 朧様、コメントありがとうございます!(^^)夢主さんイカれてますので、食べちゃいましたねw 神作品と言って頂けて本当に光栄です。涙までっ!こちらこそ、感謝の気持ちでいっぱいです!また、別の作品で会えることを願ってます!読んで頂きありがとうございました(*^^*) (2021年2月14日 22時) (レス) id: 04ce2c00fd (このIDを非表示/違反報告)
朧 - こんばんは!神作品を作っていただきありがとうございます。夢主が宿儺の指を食べた所は「え、それヤバナイ?」と思いましたwでも後でまた生きてくれてて良かったと思いました!過去編もめっちゃ泣けました。本当にありがとうございました! (2021年2月13日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - 猫人さん» 猫人様、コメントありがとうございます!(*^^*)数ある作品の中から目を通して頂けるだけでも光栄なのに、一気見、神作と、お褒めの言葉、大変嬉しく思います(*^^*) 最後までお付き合い頂きありがとうございました!(^^) (2020年12月29日 10時) (レス) id: 04ce2c00fd (このIDを非表示/違反報告)
猫人(プロフ) - 設定やストーリーがしっかりしていて一気に見てしまいました!とてもおもしろかったです。神作をありがとうございます!! (2020年12月28日 22時) (レス) id: 06ea173e41 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - 雪丗さん» 雪丗様、いつもありがとうございます!この話は終わりは決まってたのです(^^) 書き置きにオチまで載せてしまうとあれかなーと思って載せなかっただけなので!なんて言うか、勢いで書き切りました!!また、改めてメッセージ読ませて頂きますね!(*^^*) (2020年12月16日 17時) (レス) id: 04ce2c00fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こっちゃむ | 作成日時:2020年12月14日 21時