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店の中を覗くと
「萩越屋の研二様ではないですか、如何なさいました?」
ここの主人に声をかけられた。
「
「それは誠に光栄でございます。ぜひ、ご贔屓に。」
ひとまず、店の中を覗きながら女中の顔を見てみるがAの姿はなかった。
そりゃそうか。Aは所謂百姓の家の子だ。
商人として店に立ってるわけないか。
そんな時に1つの櫛が目に入る。
鼈甲に白百合の花が蒔絵で描かれているものだ。
「これ、貰っても良いか?」
「研二様、贈り物に御座いますか?」
「まぁ、な。」
「左様で御座いますか!無礼を承知でお聞きさします。櫛を贈られるのはそういう事でしょうか?」
主人は、櫛を丁寧に箱に入れながら俺に尋ねた。
「どうだろねー?」
俺ははぐらかした。
男が女に櫛を渡す理由は、陣平さんが華さんにしたように、婚姻を申し込む、求婚する、という意味を持っている。
Aと会えなくなる時、つげ櫛を渡したのはそんな、大人の真似事をしたものだった。
もう一度、この櫛を渡すのだと、心に誓い懐に仕舞った。
「研二様!」
「どうした?」
「研二様の幸せ、心より願っております。」
「ありがとう。また、利用させてもらうよ。」
「ありがとう御座います!!お待ちしております!!」
生きていれば、また逢える。
生きていると信じ
どこに居るかも分からないAに想いを馳せた
そして、また幾年が過ぎ、Aと思わぬ場所で再会するのだった。
「A…?」
13年と言う年月は、Aを妖艶な女性に成長させていた。
しかし、探し続けていた人物。
成長していても一目で分かった。
それに、髪飾りとして付けているあの櫛。
遠目からだから、確証は無いが俺が渡した櫛によく似ている。
『人違いじゃあ、おっせんか?わっちの名は、朝葵にありんす。』
俺が発した言葉に返ってきたのは、他人行儀なここの遊女としての返答だった。
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こっちゃむ(プロフ) - 雪丗さん» 梅ちゃん、ミケブチコンビも大好きです(*^^*) 松田さんと萩原さんが夢主を愛でるところとかもう、ニヤニヤしながら読んでます!! これからも応援してます!!お互いに頑張りましょうね!(*^^*) ありがとうございました! (2019年3月22日 23時) (レス) id: d587bb3c17 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - こっちゃむさん» こっちゃむ様の作品の感想を述べたら、まさか自分の作品の作品の感想を頂けるなんて…ありがとうございます!創作活動大変かと思いますが、無理せず自分のペースでお互いに頑張りましょう(^^) (2019年3月21日 21時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - 雪丗さん» 雪丗様の作品の物語展開や、躍動感溢れる描写にいつも凄い!と感動しております!戦闘時の細かい描写は、目の前にその光景が広がります!雪丗様も毎日更新されていて本当に尊敬の嵐です!これからも、応援しております!!更新頑張って下さい!(*^^*) (2019年3月21日 11時) (レス) id: d587bb3c17 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - 雪丗さん» 雪丗様コメントありがとうございます!雪丗様にそのようなお褒めの言葉を頂けるなんてっ!!もう、言葉になりません!(ToT) 語彙力! 犯人のことまで詳しく書きませんでしたが、そこも読み取って頂き嬉しく思います!続編は、いつになることか…笑頑張ります! (2019年3月21日 10時) (レス) id: d587bb3c17 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - これからも頑張ってください。応援しております。 (2019年3月20日 20時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こっちゃむ | 作成日時:2019年1月23日 23時