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研二くんとここを出ることを夢みたところで、儚く散ってしまうのは分かっている。
それに、仮に身請けしてもらえたとしても、触れても貰えない私は何をしたら良いのか。
研二くんの隣で、近くで、この恋心に身を焦がせと言うのだろうか?
研二くんと婚姻相手が幸せそうに笑い合う姿を近くで見ろと…??
そんなの耐えられるわけがない。
「絶対に迎えに来るから、ちょっとの間待っててよ。一人前になったら教えてやるって約束しただろ?もうすぐで、一人前になれるんだ。」
研二くんの心が分からない。
「そしたら、Aを掻っさらいに来るからな。」
そして、立ち上がり私の目の前にしゃがみ視線を合わせ頬をひと撫でしたのだった。
研二くんに触ってもらえた喜びと驚きで動けずにいた私に柔らかく笑いかけると
「朝葵という夢の中の人物じゃなく、Aという、
ここを出たら、全て話すよ。どうして、1回も同衾せずに帰ったかもね。」
少し意地の悪い表情になる研二くん。
『…っ!?わっちの想い気づいてたでありんす?!』
抱かれたいと願っていたが、気付かれていたと分かると、顔に熱が集まるのが自分でも分かる。
「ちょっと、朝葵の仮面が剥がれたな?顔真っ赤だ!」
くつくつ笑う、研二くん。
「熱い視線を送られたら分かるさ。でも、俺は…。おっと、この続きはここから出てからな。」
もう一度、私の頬を撫でそのまま顎を掴み、視線を研二くんと合うように固定させられる。
「だから、良い子にして待ってろよ?」
と、愛しい者を見るような優しい目で言うのだった。
『…はい』
その一言を言うのがやっとな私に
「じゃぁ、またな。次は会う時は鳥籠の中から出してやんよ。」
そう言って立ち去って行くのだった。
ーーーー
「朝葵!話がある。来い。」
『今、まいりんす』
研二くんと最後に会って3日後に楼主に呼び出された。
「萩越の旦那が、お前を身請けしたいと申し出ている。良い話だろ?受けるよな?」
『えぇ。萩越様となぐさみをともにできるなぞ、これより嬉しきことは無さんすえ。』
(萩越様と楽しさを共有できる事が、何よりの幸せ)
「金子が用意でき次第、便りを送るらしい。お前はそれまでは、ここの遊女だ。しっかり働け。萩越様に払わせる金子増やすわけにはいかんだろう?」
『あい、分かりんした』
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こっちゃむ(プロフ) - 雪丗さん» 梅ちゃん、ミケブチコンビも大好きです(*^^*) 松田さんと萩原さんが夢主を愛でるところとかもう、ニヤニヤしながら読んでます!! これからも応援してます!!お互いに頑張りましょうね!(*^^*) ありがとうございました! (2019年3月22日 23時) (レス) id: d587bb3c17 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - こっちゃむさん» こっちゃむ様の作品の感想を述べたら、まさか自分の作品の作品の感想を頂けるなんて…ありがとうございます!創作活動大変かと思いますが、無理せず自分のペースでお互いに頑張りましょう(^^) (2019年3月21日 21時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - 雪丗さん» 雪丗様の作品の物語展開や、躍動感溢れる描写にいつも凄い!と感動しております!戦闘時の細かい描写は、目の前にその光景が広がります!雪丗様も毎日更新されていて本当に尊敬の嵐です!これからも、応援しております!!更新頑張って下さい!(*^^*) (2019年3月21日 11時) (レス) id: d587bb3c17 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - 雪丗さん» 雪丗様コメントありがとうございます!雪丗様にそのようなお褒めの言葉を頂けるなんてっ!!もう、言葉になりません!(ToT) 語彙力! 犯人のことまで詳しく書きませんでしたが、そこも読み取って頂き嬉しく思います!続編は、いつになることか…笑頑張ります! (2019年3月21日 10時) (レス) id: d587bb3c17 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - これからも頑張ってください。応援しております。 (2019年3月20日 20時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こっちゃむ | 作成日時:2019年1月23日 23時