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翌日、朝のうちに西条先生と新海先生が訪れ、
その少しあとにフェロー達も来た。
改めて固く目を閉じて動かぬ藍沢を見て、再び涙を流す。
新海「……藍沢、気付いてやれなくて、ほんとにごめんな……。」
あの時、ちゃんと引き止めてやれば良かった…
なんて言っても遅いけれど。
…………お前と戦えて良かった。
…………お前と共に働けてよかった。
…………お前と共に、患者を救えてよかった。
…………お前と出会えて、よかった。
そんな言葉を藍沢にかける。
返答はないけれど、ここで伝えなければ後悔すると、そう誰もが感じていたからだろう。
****
全てを終えた頃には、もう日は傾き始めていた。
藍沢は、絹江さんと同じところに入れさせてもらうことにした。
「……藍沢さ、向こうで絹江さんや両親に……
会えてるといいな」
白石「……そうね、、。」
緋山「……藍沢の所持品、結局どーするの、?」
白石「あ、その事なんだけど。
橘先生にも相談したんだけどね、そのままにしておこう、って。
……いつでも、思い出せるように……。
いつでも、藍沢先生が帰って来れるように、って」
新海「脳外でも、残しておこうか、って話になりました。……あいつなら、戻ってきて仕事しそうだから、そのままにしておくことにしたんです」
緋山「……そっ、か。」
そういう緋山の顔は、どこか安心したような顔で。
「……あいつは医療馬鹿だからな、意外とすぐ帰ってくるかもしれないし」
冴島「……そうね…笑」
緋山「戻ってこられても困るんですけど…」
目を腫らして、けれども少し微笑んで
他愛のない話をする、その中に藍沢はいない。
けれども、共に過ごしてきた10年以上の思い出は、
消えることなく。
彼の存在もまた、彼等から消えることは無い。
白石「……藍沢先生なら、私たちのこと、傍で見守っててくれそうね」
「…それよりさ、初療室入ってきて口出しするかもしれねぇぞ、『ボーッとしてないで手を動かせ』なんてさ」
緋山「……なんか妙にリアルで嫌だわ、それ…」
そんな、いつものやり取り。
それをうるさい、だの仕事をしろ、だの咎める藍沢はもう居ないけれど。
いつまでも立ち止まっていたら、藍沢はきっと怒るだろう。
……だから、歩み続けるんだ。
その日の空は雲ひとつない綺麗な藍色の空に、
満月が空を明るく照らしていた。
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雷 - ヒロアカの相澤先生とコードブルーの藍沢先生をコラボしてほしい (2021年2月10日 1時) (レス) id: 98e42ae13b (このIDを非表示/違反報告)
原 しおり - アナ雪と藍沢せんせーのやつ!! (2020年1月4日 18時) (レス) id: d467e69a73 (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - ありささん» コメントありがとうございます!!!楽しんで頂けているのなら、光栄です!!テストなどで更新頻度が減ることもあると思いますが……。こんな作者ですが、これからもよろしくおねがいします、!! (2019年7月17日 23時) (レス) id: 84f0d9b71f (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - 毎回楽しく読ませてもらってます!!更新速度も早いのですごく楽しみです!これからも頑張ってください!応援してますっ!!! (2019年7月17日 23時) (レス) id: d90df726ae (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - めいさん» そんなこと言って頂けてとても嬉しいです!!応援ありがとうございます!頑張ります、! (2019年7月17日 13時) (レス) id: 84f0d9b71f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:自鳴琴 | 作成日時:2019年4月4日 0時