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藤川side
急いで屋上に行き、ドアを開けた途端、目に入った光景は、
藍沢が飛び降りようとしているところで。
「藍沢!!!何やってんだよ!」
そう叫び、腕を掴む。
後から来た白石や名取も、藍沢の腕を掴んだ。
藍沢「…………離せ……」
「!!!離すわけねぇだろ!…こっち戻れ!」
藍沢「…………もう、ほっといてくれ……、」
そう言う藍沢は、いつもに増して無表情で、
もう目の前は暗闇のように、何も映していない、
生きている感じすらしない、冷たい目だった。
「…………もう、全部話せよ。…お前が何抱えてるか知らねえけど…、俺は…お前を見捨てたりはしないから」
藍沢「………………。」
「…………なぁ、藍沢。俺らさ、お前がいなくて困ってんだ。……俺らは、お前が必要なんだ」
名取「……俺、まだ藍沢先生に教わりたいことが沢山あるんです。…………だから、早く復帰して、戻ってきてください」
白石「……藍沢先生、」
そう言っても動かぬ藍沢を、俺は名取と力づくで引き戻した。
抵抗することなく、ただただ動かされた藍沢は、
立ち尽くし、何も話すことは無かった。
よく見れば、右腕から血が流れていて。
おそらく、点滴を雑に抜いたからだろう。
白石「……処置するわ。…取り敢えず、病室に戻ろう、?……話は、後でゆっくりでいいの。」
その言葉にも反応を示さない藍沢の肩をひき、
名取は背中を押して歩かせた。
****
藍沢をベッドに寝かせて、消毒した後、点滴を付け直す。
白石「……他もちょっと見とくよ、?」
そう言って、藍沢の返事を聞くことなく服を捲る。
そこには、まだ治らぬ傷と、…真新しい傷。
白石「……やっぱり。。また痣増えてるじゃない。……どうしたの、?」
藍沢「…………、」
目線を逸らし、これでもなお黙る藍沢に、
少し腹が立った。
…………辛いはずなのに。
10年居て培われた友情は、こんなものだったのか。
「……藍沢、全部言えよ。同期だろ。……家族みたいな存在だ、ってお前はトロントに行く日、そう言った。……嬉しかったよ、お前に頼られてるんだ、って」
藍沢「…………。」
「…………もう10年以上一緒に居るんだ。…お前がここまで口を割らないのは、俺らが関与してることくらいとっくに分かってる」
そう言えば、藍沢の表情が固まった。
ほんの少しの変化だが、長い間一緒にいる俺には分かる。
藍沢「……っ、」
そこから、ゆっくりと、藍沢は話し出した。
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yuuftykk(プロフ) - さくらもちぱんさん» ありがとうごさいます!!楽しみにしてくれているなんて、とても嬉しいです!!頑張ります!! (2019年4月4日 14時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
さくらもちぱん - 藍沢先生がかいた手紙とかほんとうに感動しました!毎回楽しみにしています。これからもがんばってください! (2019年4月4日 14時) (レス) id: cdc2a4987c (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 愛子さん» ありがとうございます!!リクエストにお答え出来ていて良かったです!こんな作者ですが、これからもよろしくお願い致します! (2019年4月4日 9時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - リクエストした話読みました。個人的には、これまでの話の中で一番です。これからもリクエストさせていただきます。 (2019年4月4日 2時) (レス) id: 0fe946f898 (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 実桃さん» そんなことを言って頂けて、とても嬉しいです!!毎回読んでくださってありがとうごさいます!頑張ります、!! (2019年4月4日 0時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:自鳴琴 | 作成日時:2019年2月18日 21時