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翌日____
フェロー達も、その手紙を読んで泣いていた。
お前らならやれる。
………信じてる______
そう言われている気がした。
………あいつのデスクはそのままにしておいた。
藍沢が入院する直前まで使っていたままに残してある。
フライトスーツも、そのまま。
藍沢のマグネットも、貼ったままにしておく事にした。
……藍沢なら、きっと……
また仕事をしに此処へ戻ってくるんじゃないか…
と思ったから。
脳外でも、藍沢のデスクはそのままに置いてあるらしい。
いつも通りの、1日。
………けれど、何か足りない。
………何かが違って。
それがこの場にいない"藍沢"であることは、誰もが分かっていた。
………でももう、二度と戻ってくることは、ない。
けれど、ここで立ち止まることなんて、してはいけない。
………それが患者のためであり……、
藍沢のためでもある。
そう、言い聞かせて。
俺らは前進していくしか、ない____
***
あれから、名取は実家の病院を継げ、
なんて言われていたが、
………横峯は、あんなに『こわい』だの『厳しい』
だの、藍沢のことを恐れていたのにも関わらず、
『私、藍沢先生をみて…決めたんです。……私、救命のフェロー認定が終わったら、脳外に行きます!!』
なんて言って、脳外に移ることにしたらしい。
名取は緋山に指導してもらってたくせに
藍沢チルドレンになっちゃって。
緋山は、"やっぱり藍沢には勝てないわ"
なんて言ってた。
……フェロー時代の頃から俺らの何歩も先を歩いてた藍沢は、
シニアになっても俺らの先を歩いて、
スタッフリーダーである白石をも支えて。
……フェロー達から尊敬されて。
そんな藍沢は、俺らにとってなくてはならない存在だったんだ。
***
白石「……今日のヘリ担は、藤川先生と、横峯先生、雪村さんね。…………藍沢先生の分も、頑張りましょう。
……きっと、見ててくれるから」
白石が微笑んでそう言った。
****
ホットラインが鳴り、ヘリポートへと走る。
外は、冬で気温は低く、寒い日だった。
けれど、雲ひとつない真っ青な空で。
冷たいけれど、どこか暖かい…………
本当に、藍沢が見守ってくれているようで__
少しだけ、嬉しく感じた。
END
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yuuftykk(プロフ) - さくらもちぱんさん» ありがとうごさいます!!楽しみにしてくれているなんて、とても嬉しいです!!頑張ります!! (2019年4月4日 14時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
さくらもちぱん - 藍沢先生がかいた手紙とかほんとうに感動しました!毎回楽しみにしています。これからもがんばってください! (2019年4月4日 14時) (レス) id: cdc2a4987c (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 愛子さん» ありがとうございます!!リクエストにお答え出来ていて良かったです!こんな作者ですが、これからもよろしくお願い致します! (2019年4月4日 9時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - リクエストした話読みました。個人的には、これまでの話の中で一番です。これからもリクエストさせていただきます。 (2019年4月4日 2時) (レス) id: 0fe946f898 (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 実桃さん» そんなことを言って頂けて、とても嬉しいです!!毎回読んでくださってありがとうごさいます!頑張ります、!! (2019年4月4日 0時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:自鳴琴 | 作成日時:2019年2月18日 21時