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藍沢side
白血病を乗り越えて、職場復帰して2ヶ月。
最近、また身体の不調が目立ってきた。
目眩や頭痛、吐き気……
以前の初期症状と似たものばかりで。
ヘリは大規模災害のあったほんの数週間前、1度だけ。
白血病が完治したわけでもなく、ヘリは難しだろう、という上の判断だった。
「…………はぁ……」
藤川「……藍沢、疲れたんなら仮眠室行けよ」
……俺が白血病で倒れてからというもの、
少しでも体調が悪ければ仮眠室に押し込まれ、
仕事は中断、ひどい時は出勤停止命令までもが出たり。
ビクビクしていたフェロー達も、緋山と冴島が居れば、『早く休んできてください』なんて言って、カルテを取りあげられたり。
………嬉しいことではあるものの、どこか腑に落ちない自分がいた。
「……いや、大丈夫だ。……」
藤川「まーたそう言って。倒れて困んのお前だぞ」
呆れたようにそう言う藤川。
…………まだなお続く目眩に、
"再発"を疑った。
白血病の再発は、珍しいことではなかった。
1度なってしまえば、再発はよくあることで。
…………けれど、白血病は主に抗がん剤での治療の為、直ぐにオペして休養、なんてことは出来ない。
……それに、再発の場合は、治る確率は限りなく低くなる。
もし、治療しても治らなければ……
もしくは、治療しなければ……
………その先に待つものは、ただ一つ…………
可能性があるならば、俺はリスクを取りたい人間だ。
「……藤川………」
パソコンに向かい、カルテ整理をする藤川に声をかける。
藤川「…ん?何だよ、なんかあったのか?」
そう問いかけてくる藤川の顔は、いつもと同じ明るさで。
……言いにくかった。
……言いたくなかった。
……あの時、散々迷惑かけたのに。
「………再発…かもしれない」
藤川「…………え、…?」
「…………白血病…、再発したかもしれない。……検査…頼んでもいいか」
そう言うと、藤川は固まったまま、当分動かなかった。
藤川「……お、おう。分かった。……今日中な。」
"作り笑い"のような、無理した笑顔でそう言った。
「……あぁ、…悪い」
藤川「……じゃあ、ちょっと電話してくるな」
そう言って医局を出ていった。
………もし、再発していたら…、
…俺は_________
どうするべきなのだろう…………?
作者より *3.11*(お知らせではありません)→←作者より
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yuuftykk(プロフ) - さくらもちぱんさん» ありがとうごさいます!!楽しみにしてくれているなんて、とても嬉しいです!!頑張ります!! (2019年4月4日 14時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
さくらもちぱん - 藍沢先生がかいた手紙とかほんとうに感動しました!毎回楽しみにしています。これからもがんばってください! (2019年4月4日 14時) (レス) id: cdc2a4987c (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 愛子さん» ありがとうございます!!リクエストにお答え出来ていて良かったです!こんな作者ですが、これからもよろしくお願い致します! (2019年4月4日 9時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - リクエストした話読みました。個人的には、これまでの話の中で一番です。これからもリクエストさせていただきます。 (2019年4月4日 2時) (レス) id: 0fe946f898 (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 実桃さん» そんなことを言って頂けて、とても嬉しいです!!毎回読んでくださってありがとうごさいます!頑張ります、!! (2019年4月4日 0時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:自鳴琴 | 作成日時:2019年2月18日 21時