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翌日、状態も落ち着いてきて、これからの治療方針も決めるために、検査することになった。
……白血病の検査は、骨髄穿刺しなければならないのだけれど。
「……あ、藍沢先生、?今日のお昼頃に検査したいの。」
藍沢「………分かった」
そう、少し不安そうに答える藍沢先生。
………彼は検査というものが嫌いらしく。
学生時代、風邪を引いても病院に行かなかったらしい。
緋山「…ったく、あいつに弱点があったなんてね。…今度うろちょろしてたら脅してやんだから。」
ため息とともにそう言った緋山先生。
藤川「……お前、マジで冗談抜きでやりそうだよな」
緋山「うっさいわね!…あんたこそ、今度うるさくしたらその口縫ってやるわよ」
藤川「こぇーな、やめろよ!」
……そんないつものやり取り。
……だけれど、そんな会話も直ぐに途切れてしまって。
"お前ら、そんなくだらない話するくらいなら、さっさと仕事しろ"
なんて、そう言う藍沢先生がいないから…だろうか。
……彼の存在は、思っていた以上に大きかったらしい。
***
コンコンッ、とドアをノックして病室に入る。
「藍沢先生、?入るわよ、?」
藍沢「…あぁ、」
「検査する時間だけど…準備出来てる?」
そう問えば、少し目を泳がせて、一つ息をついた。
藍沢「…あぁ、大丈夫だ」
「…そう。じゃあ横になって。」
そう言うと、私に背を向けて寝転がる。
「……じゃあ、いくね、?」
そう声を掛けてから、背中側に注射針を刺す。
藍沢「ッ……」
ぎゅっ、とベッドのシーツを握る藍沢先生。
……そんな姿を今まで1度も見た事がなかったからだろうか。
ほんの少しだけ、かわいいと思ってしまった。
「……はい、終わったわよ。もう仰向けで寝ていいから。…今日はもう大人しくしててね。」
藍沢「分かった…」
「結果は明後日に出るから。………藍沢先生なら、大丈夫よ。きっと、良くなるわ。」
それだけ言って、私は病室を出た。
****
2日後……
緋山「白石ー?あんた宛てに手紙来てるけど。…もしかして、あれ?」
そう言いながら、茶封筒を渡してくる緋山先生。
「……あ、うん。」
……それは、一昨日検査した、藍沢先生の検査結果。
ゆっくりと封筒を開け、祈るような気持ちで検査結果を見つめる。
「……うん、前よりかは良くなってるわ。」
……暗い空気だった救命に、光が射したようだった。
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yuuftykk(プロフ) - さくらもちぱんさん» ありがとうごさいます!!楽しみにしてくれているなんて、とても嬉しいです!!頑張ります!! (2019年4月4日 14時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
さくらもちぱん - 藍沢先生がかいた手紙とかほんとうに感動しました!毎回楽しみにしています。これからもがんばってください! (2019年4月4日 14時) (レス) id: cdc2a4987c (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 愛子さん» ありがとうございます!!リクエストにお答え出来ていて良かったです!こんな作者ですが、これからもよろしくお願い致します! (2019年4月4日 9時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - リクエストした話読みました。個人的には、これまでの話の中で一番です。これからもリクエストさせていただきます。 (2019年4月4日 2時) (レス) id: 0fe946f898 (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 実桃さん» そんなことを言って頂けて、とても嬉しいです!!毎回読んでくださってありがとうごさいます!頑張ります、!! (2019年4月4日 0時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:自鳴琴 | 作成日時:2019年2月18日 21時