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藍沢side
ガラッッ、と雑に開けられたドアの先には、藤川がいた。
藤川「お前、副作用出てるだろ。…なんでナースコール押さないんだ」
「……押さなくても、自分でなんとか出来る」
藤川「だろうな。…スキ見てやったんだろうけど、ナースがお前が吐瀉物のごみ捨ててんの見たってよ」
「!!!……」
………まさか、見られていたとは。
藤川「"人は1人でも、生きていける"…そうお前は言ったけど、人なんて所詮、1人じゃ生きて行けねぇんだよ!それは、お前も分かってるだろ。」
俺が言葉を返す間もなく、藤川は続ける。
藤川「頼むから、1人でなんでも抱え込むなよ。
…抱え込むの、お前の悪い癖だかんな。……お前は、迷惑だと思ってるのかもしれない。…だけど、俺達は迷惑だなんてちっとも思ってない」
俺の目を見て、いつものように明るい藤川ではなく、真面目で、真っ直ぐな目で言った。
………迷惑をかけてはいけないと、ずっと思ってきた。
心配をかけることさえも、人様に迷惑をかけることなのだと、そう思っていた。
……迷惑をかけたら、また見捨てられるんじゃないかと…
……いい子じゃなかったから、捨てられた。
……せっかく出会った仲間にも、捨てられるんじゃないかと、怖かった。
「………すまなかった…ありがとう……」
聞こえるか、聞こえないかの声でそう言えば、
ニヤニヤと笑いながら、肩をポンッと叩いてきた。
藤川「………なんだよ、素直になっちゃって。
……絶対に、俺らがお前を治してみせるから」
微笑みながら、それでもしっかりと言った藤川。
その言葉に、心から安心した。
****
翌日
朝起きて、異変を感じた。
口元あたりが濡れていたのだ。
気になって起きてみれば、ベッドのシーツが真っ赤に染まっていた。
急いで止血しようとするも、出血は止まらない。
血液がサラサラになるための薬を飲んでいるため、
出血が止まりにくくなっているのだ。
鼻を押さえる手も、掛け布団も、入院着も、全て赤く染っていく。
出血が多いためか、目眩がして、ベッドに倒れ込む。
ナースコールを押そうにも、どこにあるかさえ分からない。
「……っ、はぁ、はぁ、……っ」
寝転んでいても、視界がグルグルと回るかのような目眩。
(…もう……、だめ、だ………)
……ここで、俺の意識は途絶えた。
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yuuftykk(プロフ) - さくらもちぱんさん» ありがとうごさいます!!楽しみにしてくれているなんて、とても嬉しいです!!頑張ります!! (2019年4月4日 14時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
さくらもちぱん - 藍沢先生がかいた手紙とかほんとうに感動しました!毎回楽しみにしています。これからもがんばってください! (2019年4月4日 14時) (レス) id: cdc2a4987c (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 愛子さん» ありがとうございます!!リクエストにお答え出来ていて良かったです!こんな作者ですが、これからもよろしくお願い致します! (2019年4月4日 9時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - リクエストした話読みました。個人的には、これまでの話の中で一番です。これからもリクエストさせていただきます。 (2019年4月4日 2時) (レス) id: 0fe946f898 (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 実桃さん» そんなことを言って頂けて、とても嬉しいです!!毎回読んでくださってありがとうごさいます!頑張ります、!! (2019年4月4日 0時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:自鳴琴 | 作成日時:2019年2月18日 21時