20＊ ページ23
あの後、俺らは藍沢のことを任せられた。
橘先生も、10年以上一緒にいたお前らの方がいいだろう、と。
特別に新海先生も一緒に残れることになった。
名取は仮眠室で休ませ、あとのフェローは帰宅させる事になった。
クローゼットや棚を片付けていると、
ベッドから1番近い引き出しに、ひとつの白い封筒があった。
それは、1ヶ月半ぶりに見る、
藍沢の字だった。
それはまだしっかりした字で。
……いつの間に書いていたのだろう。
「………なぁ、これ……」
緋山「……ん、？なに、それ……？」
「……引き出しに入ってたんだ。藍沢が書いた手紙。」
宛名は書いていなかった。
けれど、俺は無意識に、その封筒を開けてた。
_________
この手紙を読んでいるということは、俺はもう、そこにはいない、ってことだろう。
まず、同期の白石、緋山、藤川、冴島。
俺は、お前らに出会えてよかったと思ってる。
医者をやってた。
でも、お前らと出会って、時間を過ごしていく内に、誰かのために医者をやりたいと思うようになった。
俺が変われたのは、お前らのおかげだ。
ありがとう。
俺が白血病になってから、治療も世話も、普段の仕事に加えて、俺が抜けた分の仕事とプラスして、
ただえさえ忙しいのに、迷惑かけてすまなかった。
それと、新海にも伝えておいて欲しい。
俺が休職してから、ずっと脳外を任せっぱなしで、
オペもいくつも入ってるって聞いた。
すまない。
何も出来なくて、ただお前の仕事と負担を増やしただけだった。
新海にも、迷惑かけたな。
西条先生は、俺が抜けてから、新海と2人で脳外を回しながら学会に走り回っていると聞きました。
負担をかけてしまって、すみませんでした。
橘先生には、救命のフェローの時に、大切なことを教えて頂きました。
本当に、ありがとうございました。
横峯、名取、灰谷、雪村。
お前達は、最初はどうにかしてると思っていたが、
最近は動けるようになってきてると思う。
まだ、完璧には難しいかもしれない。
だが、外科医は経験を積まない限り、腕は上達しない。知識だけでは、どうにもならない。
でも、今のお前らなら、出来ると俺は思う。
最後に。
俺は出会いに恵まれた。
家族のいない俺にとって、お前らが、家族みたいなものだ。
最期まで、迷惑かけたな。
すまなかった。
あと、…………ありがとう。
藍沢 耕作
＿＿＿＿＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 227人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yuuftykk(プロフ) - さくらもちぱんさん» ありがとうごさいます！！楽しみにしてくれているなんて、とても嬉しいです！！頑張ります！！ (2019年4月4日 14時) (
レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
さくらもちぱん - 藍沢先生がかいた手紙とかほんとうに感動しました！毎回楽しみにしています。これからもがんばってください！ (2019年4月4日 14時) (レス) id: cdc2a4987c (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 愛子さん» ありがとうございます！！リクエストにお答え出来ていて良かったです！こんな作者ですが、これからもよろしくお願い致します！ (2019年4月4日 9時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - リクエストした話読みました。個人的には、これまでの話の中で一番です。これからもリクエストさせていただきます。 (2019年4月4日 2時) (レス) id: 0fe946f898 (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 実桃さん» そんなことを言って頂けて、とても嬉しいです！！毎回読んでくださってありがとうごさいます！頑張ります、！！ (2019年4月4日 0時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：自鳴琴 | 作成日時：2019年2月18日 21時
