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名取side
あれから、無事に家に着いて藍沢先生を起こした。
「…藍沢先生、藍沢先生、着きましたよ。」
そう声をかけると、藍沢先生がおきた。
藍沢「…ん、名取……、」
「歩けますか、?」
そう声をかけて、様子を見たけれどまだ顔色が良くなくて、俺が支えて部屋まで行った。
まだふとんは準備していなかったから、取り敢えず俺のベッドに藍沢先生を寝かせて、布団の準備をする。
角の部屋で、ほかの部屋と比べて少し大きくて
部屋がひとつ多い。和室もあるから、そこに布団と小さな机を置く。
和室は俺のベッドからよく見える所にあるから、
もし何かあっても直ぐに行ける。
藤川先生から聞いた事には気をつけないとな、と思いながら藍沢先生を布団へ運ぶ。
「じゃあ、一応ご飯の時間に…、明日の朝の7時半くらいに起こすのでそれまでゆっくりしててください。」
藍沢「わかっ…た、…」
藍沢先生がそう言ったのを聞いてから、机に水や薬を置いて俺もベッドへと向かう。
ここは都会の真ん中だし、マンションの前も騒がしい。
でも、この部屋は端っこで静かだから、ゆっくりやすめればいいんだけど、なんて思いながら目を閉じると直ぐに眠りについた。
***
藍沢side
藤川の家で世話になってから、名取の家に来るまでも、すぐだった。
新海にだって、世話になってすぐちゃんと礼を言う間もなく藤川の家へ行って。
藤川達には、被害が及んで、礼も言えなかった。
……俺が、恐れていたことが、本当に起こるなんて。
藤川達に世話になれば、藤川達にも嫌がらせが及ぶかもしれない、ということを恐れていた。
……嫌がらせどころか、貼り紙されて、家の窓が壊されて……。
俺が、あの時、藤川の家に行ってなかったら、?
俺が、自分でこの件を解決していたら……、?
俺が、ホテルにでも居候していたら……?
藤川達に嫌がらせが及ぶことも、新海や名取にまで迷惑かけなくて済んだのに。
……全部、俺のせいだ。
ゆっくり、なんて出来るわけない。人に迷惑かけて、それに、同期どころか後輩でありフェローである名取の家だ。
……情けないな、俺……。
いつもは厳しく、冷たく言い放って、言い方がきついと言われても、口調なんて変えないし、優しく微笑んで指導することも無い、
……こういう時に、ただただ、自分が弱いだけなのだと思い知る。
少しして、
俺は、必要……なんだろうか、。
そんなことを考え始めて、だんだんと呼吸が苦しくなった。
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yuuftykk(プロフ) - バナナ7さん» ありがとうございます!!リクエストにお応え出来ていたのなら良かったです…!!これからも頑張ります!! (2019年1月10日 19時) (レス) id: b775334b67 (このIDを非表示/違反報告)
バナナ7(プロフ) - リクエストにお答えいただきありがとうございます!冗談抜きに想像していたどうりだったので嬉しかったです!これからも頑張ってください! (2019年1月8日 19時) (レス) id: 0e39ffe2b2 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 今の話を頑張ってください!無理はしないでください。応援してます! (2018年11月18日 21時) (レス) id: f876d72237 (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 琥珀さん» コメント&リクエストありがとうございます!!今書いてるのが思った以上に長引かせてしまったので早く終わらせて琥珀さんのリクエストも書けるように頑張ります!! (2018年11月18日 21時) (レス) id: c79561431b (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 診察とか治療は病院嫌いなので嫌がって欲しいです。それで無理やりされて欲しいです! (2018年11月18日 18時) (レス) id: f876d72237 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:自鳴琴 | 作成日時:2018年9月21日 20時