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結愛
耕作を担架に乗せて、ヘリへと運ぶ。
耕作を乗せるとすぐにヘリは翔北へと飛び立った。
ヘリの機内に、いつもなら患者情報などを伝える声が聞こえ、緊迫した空気が流れているが、
いつもの空気とは違い、
ただただ、状態を伝え、処置をこなすだけで、
重苦しい空気が流れ、機内には換気するバックの音と、ヘリのローター音だけが響いていた。
そんな中、静寂を破ったのは、梶さんだった。
梶「……藍沢先生、大丈夫か、??」
そういう梶さんの声は悲しげで。
梶「……絶対、死なせんなよ。」
たったそれだけだけれど、
顔は見えないけれど、
梶さん耕作のことを心配してくている。
それがものすごく伝わってきた。
今まで白石先生や藤川先生、緋山先生や冴島さん、
そして耕作。
たくさんの医師を安全に現場へ送り、たくさんの患者を安全に翔北へと運んできてくれた。
私はみんなとは違う病院でフライトドクターをしてて、あとからここへ来たけれど、
特に、あの5人は10年前からフェローとしてここへ来て、翔北にいる。
ずっとヘリの操縦士として、彼らを支え、
見守ってきてくれた人のうちの一人だ。
「……絶対に、死なせません。」
梶「…………あと、3分で翔北に着く。」
****
冴島
仲間が重症を負って、ヘリで搬送することになって。
生死をさまよってる患者は山ほど見てきているのに。
仲間という関係になればこんなにも息苦しくて、心が痛いだなんて。
フェロー時代、先生とは到底思えない失敗で心停止した藤川先生。
列車から落ちて心タンポを起こした緋山先生。
取り返しのつかぬことで指導医の腕を奪うことになった白石先生。
流産やシアンガスによる汚染を経験した私。
崩落事故により、足を切断しそうになるまでに至った藤川先生。
どんなときも、藍沢先生は私たちの先頭にいた。
最初から、他の先生とは比べ物にならないくらいの腕を持っていた。
あの黒田先生をも認める、腕を持つフェローだった。
冷静沈着で、冷たくて、ぶっきらぼうで、言い方がきつくて。
でも、本当は言葉に温かみがあって、誰よりも優しくて、人の気持ちを理解している人だと思う。
さとしより、仕事をとった私に声をかけて、
1人にして泣かせてくれた藍沢先生。
自分が辛くても、その感情を押し殺して寄り添ってあげてた。……とても、優しい人。
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yuuftykk(プロフ) - omuomumさん» そう言っていただいてとても嬉しいです!!ありがとうございます!!頑張って更新します…! (2018年8月18日 7時) (レス) id: c79561431b (このIDを非表示/違反報告)
omuomum(プロフ) - 続きが楽しみです!応援してます(*^^*) (2018年8月18日 7時) (レス) id: 9b33b7e288 (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 真衣さん» コメントありがとうございます!嬉しいです…!!!分かりました。設定、書きます! (2018年7月30日 22時) (レス) id: c79561431b (このIDを非表示/違反報告)
真衣(プロフ) - 読んでみて面白かったです。出来れば設定を書いてくださいよろしくお願いします (2018年7月30日 22時) (レス) id: 984f627d8c (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - コメントありがとうございます!頑張ります!! (2018年7月24日 15時) (レス) id: 8306566024 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:自鳴琴 | 作成日時:2018年7月24日 14時