. ページ8
.
「…しめ?」
声をかけられて、びくっと肩が跳ねる。
振り向くと、如恵留が不思議そうな顔をして立っていた。しー、って如恵留に合図して、ふたりのほうを見るのを促す。そっちを向いた如恵留は、俺と同じように目を見開いた。
「ね、海人ってば、」
「ほんとまって、おねがい」
「だめ、…もっとふれたくなる、」
「なればいいじゃん」
「今はだめだって、ほんと、仕事集中できなくなるから、」
息を潜めて、ふたりの会話に耳を傾ける。
だめ、って言うわりには、まつくも腕を解こうとはしないし、海人を押しのけようとする素振りもみせない。
海人が少しだけ顔を上げて、かいと、って呼んだ。
まつくもすぐに海人の方を向いて、こつ、額同士がぶつかる。そのまま、…くちびるが重なった。
「ん、…んっ、」
「…これ見ていいの?」
隣で如恵留が呟いた。
うん、俺もまさかこんなところでメンバー同士のキスを見るとは思わなかったよ。
「ぁ、…っはぁ、かいと、」
「あーだめ…もうほんと、抱きてー…」
「っおいばか、」
「なぁに、ほんとのことだよ」
「わかったって、!…おれだって、だいてもらいたいっておもってるから、」
「…好き」
「、おれもすき。…あと4日、ね」
「うん…がんばろーね」
「ん。…戻るよ」
「はぁい」
如恵留と目配せして、静かにその場を立ち去る。
後ろから聞こえてきたふたりの会話は、俺らの前でするような荒々しい口調で。きっとどっちも、取り繕わない、ありのままのふたりなんだろうな。
「…俺、全然ふたりのこと分かってなかったかもしんない」
「俺も。上手くやってるんだね」
「ね、…ちゃんと好きなんだなぁ、お互いのこと」
「いい関係だね」
「ほんとほんと」
あと4日。
海人とまつくの、休みが被る日。
ふたりはきっと、その日までまたメンバーの距離感で、でもその日を支えに活動するんだ。
楽屋に戻って、海人は閑也のところに、時間差で戻ってきたまつくは元太のところに。
まだほんの少しだけ赤いまつくの頬を見て、如恵留とこっそり笑い合った。
.
友達ではいられなかった俺ら 緑×赤→←ほんとのふたり 緑×橙
138人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yukarin - 翡翠様、承認いただきありがとうございます。これからよろしくお願いいたします。 (4月6日 12時) (レス) id: 4330d63972 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - yukarinさん» メッセージありがとうございます!Xのフォロリク承認させていただきましたのでご確認ください🙇♂️ (4月6日 11時) (レス) id: a2463a8237 (このIDを非表示/違反報告)
yukarin - 翡翠様、初めまして。リアルでは如恵留さん推しのyukarinと申します。お話のカップリングはうみげん一択でしたが、翡翠様のお話を拝読し、うみちゃかの良さを噛み締めております。Xに投稿されたお話も拝読させていただければ光栄です。よろしくお願いいたします。 (4月5日 17時) (レス) id: 4330d63972 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます。いただいたリクエストは順番に書いておりますので、しばらくお待ちください🙇♂️ (3月30日 16時) (レス) id: a2463a8237 (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - はい大丈夫です。 (3月30日 16時) (レス) id: 6da2fe3136 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:翡翠 | 作成日時:2023年11月19日 20時