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「……家がバレてるの?」
「ぇ、?…あ、うん…帰り、つけられる」
「…元太くんが嫌じゃなければ、だけどさ」
「うん、?」
「今日はうち来ない?…んー、ごめんけど今の元太くん1人にできない。」
「…いいの?」
「もちろん。…大したおもてなしはできないけど」
「…行きたい」
「ん」
「おじゃまします、」
「はいどーぞ」
好きな人の家、一歩足を踏み入れただけでふわりと海人くんの香りがして、じんわりと幸せが込み上げる。
まさかこんな、夢みたいなことが起きるとは思わなかった。
「その辺、適当に座っといて」
「ん、」
言われた通り、軽くソファに腰掛ける。
出してもらった温かいお茶が入ったコップを手で包めば、そこから熱が伝わった。
「…いつから?」
「へ、」
「ストーカー。…思い出したくないだろうけど、」
「覚えてない、へへ、…俺ああいうのに捕まりやすいんだよね。なんでだろ、軽いって思われんのかな、」
表情筋を意図的に動かして口角を上げる。
途端、視界が暗く染まって。
さっきまでほんのりと香っていた匂いがぐっと強くなって、体温が上がったと同時に抱きしめられているんだと理解した。
「っかい、とくん…?」
「…無理に笑わないで。怖いでしょあんなの、誰が、何回されたってさ。どっかで吐き出しとかないと元太くんが壊れちゃうよ。」
「ぁ、」
まさかそんなこと、言われると思わなくて。
ずっとずっと1人で溜め込んでいた何かが涙になって流れ落ちていく。
それを拭おうともしない海人くんは、俺の涙が止まるまで、ただひたすらに俺を包み込んでくれていた。
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yukarin - 翡翠様、承認いただきありがとうございます。これからよろしくお願いいたします。 (4月6日 12時) (レス) id: 4330d63972 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - yukarinさん» メッセージありがとうございます!Xのフォロリク承認させていただきましたのでご確認ください🙇♂️ (4月6日 11時) (レス) id: a2463a8237 (このIDを非表示/違反報告)
yukarin - 翡翠様、初めまして。リアルでは如恵留さん推しのyukarinと申します。お話のカップリングはうみげん一択でしたが、翡翠様のお話を拝読し、うみちゃかの良さを噛み締めております。Xに投稿されたお話も拝読させていただければ光栄です。よろしくお願いいたします。 (4月5日 17時) (レス) id: 4330d63972 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます。いただいたリクエストは順番に書いておりますので、しばらくお待ちください🙇♂️ (3月30日 16時) (レス) id: a2463a8237 (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - はい大丈夫です。 (3月30日 16時) (レス) id: 6da2fe3136 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2023年11月19日 20時