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「…さみしい?元太」
「……ん、」
「不安?」
「うん、」
「ん、そしたらそんな元太にプレゼントあげる」
体を離して、手出してみ?って微笑まれる。
不思議に思いながらも右手を出せば、そっとそれを両手で包み込まれた。
「…はい」
「え、……え、?」
うみ先輩が手をどけたら、そこには陽の光を浴びてきらりと輝く…
「かぎ…?」
「そ。俺実家出るの。通えない範囲じゃないけどちょっときついからさ。バイト詰めてたのも半分は自分で出せって親に言われたからなんだよね。」
「…うん、?」
「だからそれ、元太にあげる」
ちょっとまって。
うみ先輩は一人暮らし、で、これは俺にくれる…って、もしかして。
「…これ、」
「俺が暮らすとこの合鍵。元太の家からならそんな遠くないから、気が向いたらおいで。」
「いいの…?」
「いいよ、俺がおまえにあげたんだから。もうそれは元太のだから、好きにして。使ってもいいし使わなくてもいい。別に俺がいる時間なら使う必要ないしね。…でもさ、これだけは知ってて。」
「ん、?」
「俺は元太のこと本気だよ。…昔のこと話しちゃったから、疑う気持ちもよくわかるんだけど。例えば大学に入って誰かに言い寄られたりしても、元太と会えない時間が増えても、俺がそれを渡したのは家族と元太だけ。もっと言えば、家族には来るとき連絡しろって言ったから、好きに使っていいのは元太だけ。」
「っ、うん、」
「元太はもっと自信持っていい。ほんとに俺、元太しか見てない。」
「……ん、っ」
ぼろぼろ泣き出した俺の涙を優しく拭って、うみ先輩はまた、俺を包み込んだ。名前を呼ばれて顔を上げれば、今日3度目の口づけが降ってくる。
今度は、俺にとってはじめての、深い深いキスだった。
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翡翠です。
うみげんの先輩後輩シリーズ、これにて完結いたしました!
ひっそりと季節に合わせて投稿してきたのですが、いかがだったでしょうか。
Xではちらっとお話ししたのですが、実はこのシリーズ、「そーいう関係かよ!」「100の質問」の2人の高校時代のお話でした。べったーには2人の初夜のお話もありますので興味があればチェックしてみてくださいね🫡
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yukarin - 翡翠様、承認いただきありがとうございます。これからよろしくお願いいたします。 (4月6日 12時) (レス) id: 4330d63972 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - yukarinさん» メッセージありがとうございます!Xのフォロリク承認させていただきましたのでご確認ください🙇♂️ (4月6日 11時) (レス) id: a2463a8237 (このIDを非表示/違反報告)
yukarin - 翡翠様、初めまして。リアルでは如恵留さん推しのyukarinと申します。お話のカップリングはうみげん一択でしたが、翡翠様のお話を拝読し、うみちゃかの良さを噛み締めております。Xに投稿されたお話も拝読させていただければ光栄です。よろしくお願いいたします。 (4月5日 17時) (レス) id: 4330d63972 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます。いただいたリクエストは順番に書いておりますので、しばらくお待ちください🙇♂️ (3月30日 16時) (レス) id: a2463a8237 (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - はい大丈夫です。 (3月30日 16時) (レス) id: 6da2fe3136 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2023年11月19日 20時