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side.Miyachika
松倉と入れ替わるように扉のすぐそばまでやってきた海人に、そっと抱きついた。
腰の辺りを優しく撫でてくれたのに安心して、ふうっと息を吐いて体を離す。
「海斗の部屋行く?俺そっちで寝てもいい?」
「ん」
隣に並んで、お互い無言で俺と松倉の部屋に入る。
もう一度海人の服を引き寄せれば、ふわっと頬を持ち上げられた。
「んで?どうしたの」
「へ、」
「そこまで酔っ払ってないでしょ。顔も赤くないしふらついたりしてないし、まず海斗って酔ったらすぐ寝るじゃん」
「ゃ、それは」
「松倉の介抱ぐらいならできるよね。…なんで俺のとこ来たの、言ってみ?」
「っ、」
こういう時の海人は少しだけ意地悪で。
俺が嘘をついてるって確信を持てば白状するまで引いてくれなくて、だけど言ってしまえば茶化すことなく真正面から受け止めて甘やかしてくれる。
だから、俺には正直に言うって選択肢しか残されてない。
「……海人がいないベッドは広くて冷たいなぁって、思っただけだよ」
「え?…あぁ、なるほどね」
年が明ける瞬間は2人で過ごしたいっていうのは俺と海人で相談して決めたこと。
だからお正月からお互い実家に帰って、そのまますぐに社員旅行で。一度家には帰ったから2人きりの時間は作れたけど、ここ5日間、海人と眠ることはなかった。
どちらかが会社に泊まり込み、なんてことがない限り同じベッドで海人に包み込まれて眠りに落ちるから、こんなに何日も続けて1人で夜を過ごすのは大学生ぶりだった。
どうしても、海人の温もりがほしくて。
だからそう、こいつの言うとおり、酔っ払って松倉の介抱がきつい、なんてのは、ただの誤魔化しに過ぎないんだ。
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yukarin - 翡翠様、承認いただきありがとうございます。これからよろしくお願いいたします。 (4月6日 12時) (レス) id: 4330d63972 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - yukarinさん» メッセージありがとうございます!Xのフォロリク承認させていただきましたのでご確認ください🙇♂️ (4月6日 11時) (レス) id: a2463a8237 (このIDを非表示/違反報告)
yukarin - 翡翠様、初めまして。リアルでは如恵留さん推しのyukarinと申します。お話のカップリングはうみげん一択でしたが、翡翠様のお話を拝読し、うみちゃかの良さを噛み締めております。Xに投稿されたお話も拝読させていただければ光栄です。よろしくお願いいたします。 (4月5日 17時) (レス) id: 4330d63972 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます。いただいたリクエストは順番に書いておりますので、しばらくお待ちください🙇♂️ (3月30日 16時) (レス) id: a2463a8237 (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - はい大丈夫です。 (3月30日 16時) (レス) id: 6da2fe3136 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2023年11月19日 20時