検索窓
今日:117 hit、昨日:152 hit、合計:18,893 hit

. ページ13

.

「げんた」

「ん、?」


名前を呼ばれてそっちを見れば、灯りに照らされて、それはもう綺麗に微笑むうみ先輩がいた。


「…っ、」


うみ先輩の右手が俺の頬を包んで、その親指がくちびるをなぞる。したいことが分かって、ちょっとだけ体が強張った。


「はじめて?」

「……うん、」

「俺でいい?」

「…うみ先輩がいい」


主語無しで紡がれる言葉たち。最後の俺の声にうみ先輩は嬉しそうに笑って、…それから、俺の耳元に口を寄せた。


「海人って呼んで?」

「っ、………かいと、」


その位置のまま、くすりと笑う声がして。

数秒後に俺の目の前に戻ったうみ先輩の瞳に吸い込まれるように、目が離せなくなった。
少しずつ顔が近づいて、焦点が合わなくなって目を閉じる。

俺の頬に添えられた手が顎を持ち上げて、
そのまま、


優しく優しく、くちびるが重なった。


ふにふに、俺の下唇を甘く噛んで、何度か角度を変えて。
力の入る俺を宥めるように片手が絡んで、空いた手で俺の髪を梳く。


しばらくそうして、また優しく吸い付かれてから顔が離れた。


「かぁわいい」

「っ、…すぐそうやって誑かす…」

「大丈夫、誑かしてんの元太だけだから」

「…ひとたらし」

「だから元太だけだって」


至近距離で見つめ合いながら、静かに笑い合う。
その近さに耐えられなくなって肩に額を押し付ければ、腰に手が回ってぎゅっと引き寄せられた。


「…どうでしたか、ファーストキス」

「……うみ先輩で、よかった、です。…幸せ、俺。」

「ふふ、そっかぁ」


.



先日X(旧Twitter)ではちらっとお話ししましたが、長編として書きたいお話がたくさんありまして。
このお話以降、『きみをおもう』は不定期更新にします。その代わり、次の長編を早くお届けできるように頑張ります🫡

ではこれからも、翡翠をよろしくお願いします!

.

体を寄せて、おやすみ 緑×赤/青×橙→←冬、白く染まる街で 緑×青



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
138人がお気に入り
設定タグ:TravisJapan , BL , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

yukarin - 翡翠様、承認いただきありがとうございます。これからよろしくお願いいたします。 (4月6日 12時) (レス) id: 4330d63972 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - yukarinさん» メッセージありがとうございます!Xのフォロリク承認させていただきましたのでご確認ください🙇‍♂️ (4月6日 11時) (レス) id: a2463a8237 (このIDを非表示/違反報告)
yukarin - 翡翠様、初めまして。リアルでは如恵留さん推しのyukarinと申します。お話のカップリングはうみげん一択でしたが、翡翠様のお話を拝読し、うみちゃかの良さを噛み締めております。Xに投稿されたお話も拝読させていただければ光栄です。よろしくお願いいたします。 (4月5日 17時) (レス) id: 4330d63972 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます。いただいたリクエストは順番に書いておりますので、しばらくお待ちください🙇‍♂️ (3月30日 16時) (レス) id: a2463a8237 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はい大丈夫です。 (3月30日 16時) (レス) id: 6da2fe3136 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:翡翠 | 作成日時:2023年11月19日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。