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「げんた」
「ん、?」
名前を呼ばれてそっちを見れば、灯りに照らされて、それはもう綺麗に微笑むうみ先輩がいた。
「…っ、」
うみ先輩の右手が俺の頬を包んで、その親指がくちびるをなぞる。したいことが分かって、ちょっとだけ体が強張った。
「はじめて?」
「……うん、」
「俺でいい?」
「…うみ先輩がいい」
主語無しで紡がれる言葉たち。最後の俺の声にうみ先輩は嬉しそうに笑って、…それから、俺の耳元に口を寄せた。
「海人って呼んで?」
「っ、………かいと、」
その位置のまま、くすりと笑う声がして。
数秒後に俺の目の前に戻ったうみ先輩の瞳に吸い込まれるように、目が離せなくなった。
少しずつ顔が近づいて、焦点が合わなくなって目を閉じる。
俺の頬に添えられた手が顎を持ち上げて、
そのまま、
優しく優しく、くちびるが重なった。
ふにふに、俺の下唇を甘く噛んで、何度か角度を変えて。
力の入る俺を宥めるように片手が絡んで、空いた手で俺の髪を梳く。
しばらくそうして、また優しく吸い付かれてから顔が離れた。
「かぁわいい」
「っ、…すぐそうやって誑かす…」
「大丈夫、誑かしてんの元太だけだから」
「…ひとたらし」
「だから元太だけだって」
至近距離で見つめ合いながら、静かに笑い合う。
その近さに耐えられなくなって肩に額を押し付ければ、腰に手が回ってぎゅっと引き寄せられた。
「…どうでしたか、ファーストキス」
「……うみ先輩で、よかった、です。…幸せ、俺。」
「ふふ、そっかぁ」
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先日X(旧Twitter)ではちらっとお話ししましたが、長編として書きたいお話がたくさんありまして。
このお話以降、『きみをおもう』は不定期更新にします。その代わり、次の長編を早くお届けできるように頑張ります🫡
ではこれからも、翡翠をよろしくお願いします!
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体を寄せて、おやすみ 緑×赤/青×橙→←冬、白く染まる街で 緑×青
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yukarin - 翡翠様、承認いただきありがとうございます。これからよろしくお願いいたします。 (4月6日 12時) (レス) id: 4330d63972 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - yukarinさん» メッセージありがとうございます!Xのフォロリク承認させていただきましたのでご確認ください🙇♂️ (4月6日 11時) (レス) id: a2463a8237 (このIDを非表示/違反報告)
yukarin - 翡翠様、初めまして。リアルでは如恵留さん推しのyukarinと申します。お話のカップリングはうみげん一択でしたが、翡翠様のお話を拝読し、うみちゃかの良さを噛み締めております。Xに投稿されたお話も拝読させていただければ光栄です。よろしくお願いいたします。 (4月5日 17時) (レス) id: 4330d63972 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます。いただいたリクエストは順番に書いておりますので、しばらくお待ちください🙇♂️ (3月30日 16時) (レス) id: a2463a8237 (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - はい大丈夫です。 (3月30日 16時) (レス) id: 6da2fe3136 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2023年11月19日 20時