検索窓
今日:6 hit、昨日:27 hit、合計:13,176 hit

. ページ20

.

「…いと、、海斗!!」


名前を呼ばれて、目を開く。

うっすらぼやけた視界の中で、安心したような、柔らかい顔が見えた。


「海斗…っ、よかった、!」


瞬間、さっき起きたことが、濁流のように頭に流れ込んできた。
…呼吸は、どうやってするの、


「は、…っひゅ、」



わけがわからない、こわくて、くるしくて、



.





「海斗」


雑音だらけの俺の聴覚に、それは驚くほどクリアに響いた。




気づけば俺は、優しいぬくもりの中にいて。


「大丈夫だからね、…俺ここにいるから」


どく、どく、耳元で聞こえる落ち着いた心音に合わせて、ゆっくりと息を吐いた。

徐々に意識がはっきりしてくる。


「…海人、」

「うん。おかえり海斗。」

「おれ、の、へや?」

「そうだよ」

「ど、して…、」

「…海斗、帰ってこないから。連絡もつかないし、…今日おばさんの命日だし。なんかあったかなって実家まで行ってみたの。…流石に焦った、心臓止まるかと思った」


言いながら、俺のまぶたにキスを落として。


「怖かっただろ、…よく頑張ったね」


なんて笑った。

…俺、こいつ以外に抱かれたんだ、


再認識した途端、罪悪感と気持ち悪さに、思わず目の前の体を強く抱きしめた。


「お、?どした、」

「かいと、」

「うん?」

「っおれ、…海人以外の人に、」

「…うん」


あれ、…あんま気にしてないのかな、、そもそもはじめてもあいつだったし、海人の中ではそんなに大きな問題じゃないの?

…幻滅、したかな、


「や、じゃない、?」

「…嫌だよ、死ぬほど。大好きな人が自分以外に抱かれたって考えるだけで、めっちゃ苦しい」

「っ、」

「でもそれは海斗のせいじゃないし、海斗に言ったところで防げるわけじゃない。海斗は被害者でしょ」

「…ん、」

「そんなこと考えなくていいよ、俺海斗のことどうでもいいとか幻滅したとか絶対思わないから」


お見通し、だった。

相変わらずこいつは、俺の不安を全部見透かしてしまうんだ。


「海斗がゆーっくり休んで、で体調戻ったら、どろっどろに優しく抱いてあげる」

「…ふふ、うん、」

「知ってる?おまえ熱あるんだよ」

「へ、」

「気づいてなかった?…じゃあほら早く寝るよ」

「海人、」

「ん?俺も今日はここに泊まるよ」

「ん、…俺が起きるまでいてね」

「はぁい」



.



 ページを、めくる。



.

Page.7→←Page.6



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (37 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
84人がお気に入り
設定タグ:TravisJapan , BL , Wカイト
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:翡翠 | 作成日時:2023年5月16日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。