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「次は海斗の番。…いつもと違うことされた？」
「う、ん、…っあの、あのね、」
「ゆっくりでいいよ。大丈夫だからね、ちゃんと聞くから」
優しい声に頷いて、乱れそうになる呼吸を必死に抑えつける。
しばらくして、やっとの思いで言葉を紡いだ。
「きす、…されたんだ、、今まで、それだけは無かった、のに、」
目を見開いて、直後、いつもの表情に戻った海人。
そっと、俺の手を握った。
「ぎゅってしてもいい？俺のこと怖くない？」
「大丈夫、…っか、いと、」
不安そうに俺を見上げる海人に、自分から体を寄せる。
宝物にふれるみたいに、大事に大事に俺を抱きしめた海人は、耳元で優しくささやいてくれた。
「…よく、頑張ったね。連絡してくれて、…俺のこと頼ってくれてありがとう。」
「っかいと、…かい、と、！」
ぬくもりに包まれて、安心して涙があふれる。
自分にはこの人しかいないのだと、心が叫んでいた。
優しかった抱擁に、ほんの少し力がこもる。
海人が、苦しそうに呟いた。
「ねぇ、海斗」
「ん、？」
「今から言うこと、嫌だとか、怖いとか思ったら俺のこと突き放して」
「…え？」
俺が海人に、そんなこと思うはずが無いのに。
なのに海人は、俺の背中にあった手を緩めた。
「…好きだよ、海斗。ずっとずっと、好きだった。…ごめん、こんなときに言うことじゃないんだろうけど。でも、もう友達として海斗が苦しんでるの見るの、耐えらんない。俺に、…俺にちゃんと、守らせてくれないかな」
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ぼろぼろ、頬をしずくが滑り落ちていく。
びっくりしたような、申し訳無さそうな海人が俺の体を離そうとしたから、その服を掴んで引き寄せた。
泣きすぎて呼吸がままならなくて、喉が震えて言葉が出てこない。
でも、どうしても伝えたくて。
目元を海人の肩に押しつけたまま、お腹に力を込めて声を上げた。
「おれ、も、、おれも、ずっと海人のこと、すきだった、、っ、そばに、いて、…おねがい、」
もう1度、今度は力強く抱きしめてくれた海人。
「海斗」
名前を呼ばれて、涙が止まらない顔を上げた。
目が、合う。
海人が言いたいことが、手に取るように分かった。
「…いい？」
「ん、」
「怖くない？」
「海人のこと、怖いって思ったことない」
海人は嬉しそうに笑って、そして、
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優しく優しく、くちびるが重なった。
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作者名：翡翠 | 作成日時：2023年5月16日 18時
