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父の部屋から這うように逃げ出して、スマホを掴む。
喧嘩なんてどうでもいい、ただただ海人に縋りたかった。
『…もしもし』
電話に出てくれたことに安堵して、貼り付いた喉に息を吹き込む。
上手く言葉が出てこなくて、ひたすらに大好きな人の名前を呼んだ。
「…っかいと、、かい、」
『今から？』
「ん、…ごめ、おねが…っ」
『うん。すぐ行くから』
変わらない、柔らかい声に、強張っていた体から少しだけ力が抜けた。
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悪化した気がする体を、前に進める。
公園に入って、海人の姿を認識して。
すぐそばまで駆け寄ってきてくれた海人を前にした瞬間一気に気が抜けて、倒れ込むように抱きついた。
「わ、…あっつ…おまえこれで学校来てひとりで帰ったの…」
「ごめ…、」
「謝らないといけないことはしてないでしょー、」
俺の脇の下に腕を回し直した海人は、そっと俺を抱き上げて。そのままベンチに座って、俺をその膝の上に乗せてくれた。
「…ごめん、先に1個だけ」
「ぅん、？」
「ちゃんと、言わせて」
「、」
真剣な声にちょっと怖くなって固まった体を、緩やかに抱きしめられる。
「ごめんね。…ごめん、意地張って、体調悪かったの気づいてたのに、、声、かけれなかった。…てか、体調悪いのも俺のせいでしょ、」
「ちが、…おれ、が、わるい、…ごめ、なさい、」
「ううん、海斗は悪くない。ごめんね」
「…やだ、あやまら、ないで、」
「うん、これで終わり。仲直りしよ。海斗と喧嘩してんのだいぶしんどいわ」
「ん、」
少し体を離して、前髪をかき分けるようにして頭を撫でてくれた。
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作者名：翡翠 | 作成日時：2023年5月16日 18時
