伍拾弐話 ページ5
「大丈夫だったかい?何処に行ってたのだい。心配したのだよう、突然居なくなるから」
「急に消えたら、リンタロウが心配すると思って」
日本人とは思えない金色の髪の毛に青い瞳に赤い
リンタロウ、と呼ばれた街医者は涙目だ。
「そうだよ、心配したよう。泣くかと思ったよう」
「そしたら泣かせたくなった」
「非道いよ、エリスちゃん!…でも可愛いから許す!」
ころころと表情が変わる男性を呆れた目で見ている俺。
『
「わっ!?」
大きな声を出した敦の方を見ると、泉が抱き着いていた。
「鏡花ちゃん!………迎えに来てくれたの?」
「……心配した」
「有難う」
敦はゆるりと頬を緩ませ、泉の頭を撫でる。
「其れでは、私達は失礼するよ」
不意に、声がして振り返った。
「
「半分程彼に取られてしまったけれどね」
男性は俺を見て苦笑する。
「そう云えば、お医者さんなのですか?」
「元医者だよ。今は小さな寄合の仕切屋中年さ。少年…どんな困難な戦局でも、必ず理論的な最適解は有る。混乱して
男性はにっこりと笑うと、俺達に背を向けて去って行った。
姿が見えなくなる前に、追いかける。
「A!?」
敦が俺の名前を呼んだ後すぐに何かが落ちた音が聞こえた。
「……鏡花、ちゃん?」
ちらりと彼女を一瞥すると酷く怯えた顔をしている。
「鏡花ちゃん!?如何したの!?」
『敦は泉を頼む!俺はちゃんと寮に帰るから!』
「一寸!A!」
男性を追いかけてる内に、暗い路地裏に入った。
成るべく足音を立てないようにしながら二人の後を追う。
「楽しい一時だった。私も童心に返って、異能で敵をばっさばさと遣っ付けたくなったよ!」
はっはっは、と男性は楽しそうに笑った。
「中年には無理」
「非道い!」
少女は男性の言葉をきっぱりと否定する。
「私は之でも_____」
彼の前に、開けた場所があった。
其処には骸を囲む沢山の男性の中にこないだ会ったばかりの中原もいた。
彼等は男性を見た瞬間、頭を下げる。
「此れが組合の刺客かね?」
「はい」
「探偵社に組合。我々も又、困難な戦局と云う訳だ。最適解が必要だね」
彼は前髪をかきあげた。
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ぴみゃ - ドストさん絡みの男主のお話で一番好きです。頑張ってください、応援してます! (2018年5月24日 21時) (レス) id: a5e208826f (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 黒翔さん» 調べてみたらそうでした…。ご指摘有難う御座います (2018年4月7日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
黒翔(プロフ) - どうでもいいし細かいんですけどフョードルの愛称みたいなものってフェージャじゃないんですか?() (2018年4月7日 20時) (レス) id: 8b992b69e6 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - ドストさん癒し!!更新待ってます! (2018年4月1日 23時) (レス) id: c1e93ed5ca (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 零さん» 癒しになって良かったです…。有難う御座います! (2018年1月12日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:曉 | 作成日時:2017年10月15日 22時