肆拾玖話 ページ2
大きな音を立てて開いた扉の中から、無数の手が出て来て谷崎君を掴む。
「うわぁぁッ！？」
彼は叫び声をあげながら、扉の中へと連れられてしまった。
「またお友達が増えちゃったわ！嬉しいわね、アン！………なぁに？まだ欲しいの？其れじゃあ」
ぎろり、ルーシーが敦を睨むとアンが向かって来る。
敦は虎化してアンから避けた。
「凄い凄い、軽業師みたい！もっと見たいわ！」
彼女は其の様子を見て笑顔になる。
あぁ、本当に"鬼
「何て力強くて便利な異能なんでしょう。さぞ幼少から皆にちやほやされたに違わないわ」
「…」
「貴方、元孤児なのですってね。あたしも孤児院育ちなの。とても寒い所よ。凍った水で、一日雑巾掛けをした後は何日も指の痛みが取れなかったわ。其れに、あたしの異能はこんなだから、皆から気味悪がられちゃって。貴方が攫われた時、探偵社は必死に捜したそうね。素敵だわ。きっと、貴方が良い異能を持っているからね」
ルーシーが自分の過去を語る。
「僕は…」
「あたしも異能を買われて
震えた手で、服の裾を握り締める彼女。
「…ねぇ、何故貴方なの？何故あたしではないの？」
ルーシーが氷のように冷たく、光が無い瞳で俺達を見る。
「不公平よ。貴方も、あたしの気持ちを思い知るべきだわ。此の部屋でっ……永遠にね！」
アンの手が敦に向かって伸びてくるが、器用に避けた。
攻防戦を続けながら、敦は扉の前に辿り着く。
「よし」
其の手には、扉の鍵が握り締められていた。
「少年！危ない！」
「え？」
隣から男性が敦に向かって叫ぶ。
鍵が何故か動き出し、先端の鋭く尖った部分を敦の首筋を狙って攻撃した。
其れを避けながら鍵を放り投げる。
「あら、大事な鍵をこんな風に扱って。……孤児院の先生に叱られるわ」
ルーシーが持っている鍵が、不気味に笑った。
「鍵で扉を開けたら勝ちじゃあないのか！」
「そうよ。"開けられれば"ね？こんな鍵をどう使うか、あたしにも見当がつかないけど」
"最初から勝つ方法なんて無い"と考えているのか敦は焦り出す。
「どうしたの？お遊戯は此れからが本番よ！貴方は鬼遊の天才みたいだけど、"此の状態で何分心が保つかしら"？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 210人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴみゃ - ドストさん絡みの男主のお話で一番好きです。頑張ってください、応援してます！ (2018年5月24日 21時) (
レス) id: a5e208826f (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 黒翔さん» 調べてみたらそうでした…。ご指摘有難う御座います (2018年4月7日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
黒翔(プロフ) - どうでもいいし細かいんですけどフョードルの愛称みたいなものってフェージャじゃないんですか？() (2018年4月7日 20時) (レス) id: 8b992b69e6 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - ドストさん癒し！！更新待ってます！ (2018年4月1日 23時) (レス) id: c1e93ed5ca (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 零さん» 癒しになって良かったです…。有難う御座います！ (2018年1月12日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：曉 | 作成日時：2017年10月15日 22時
