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参拾伍話 人を殺して死ねよとて ページ37

「太宰と小僧が行方不明ぃ?」


僕の言葉に、国木田さんが顔を顰めた。


「電話も繋がりませんし、下宿にも帰ってないようで」


「太宰はまた川だろう」


「また土中では?」


「また拘置所でしょ」


太宰さんが行方不明なのは何時もの事なのだろう。


皆さん、思い付く場所を話している。


「しかし、先日の一件もありますし……真逆マフィアに暗殺されたとか……」


Aも、何処へ行ってしまったのだろう。


「阿呆か。小僧はともかく、太宰の危機察知能力と生命力は悪夢の域だ。あれだけ自 殺未遂を重ねてまだ一度も死,んでない奴だぞ。己自身が殺,せん奴を、マフィア如きが殺,せるものか」


「でも…」


「ボクが調べておくよ」


其の声を聞き、僕は振り返る。


「谷崎さん無事でしたか!」


扉を開けながら入って来たのは此の前大怪我を負った谷崎さんだ。


「与謝野女医の賜物だな。…谷崎、何回解体された?」


笑っていた谷崎さんは其の言葉を聞いて顔を青くする。


「………四回」


谷崎さんが肩を落とすと、皆さんは「あー」と云う。


「敦君、探偵社で怪我だけは絶ッ対にしちゃ駄目だよ!」


僕の肩を掴んで必死に訴える彼。


「今回はマフィアと判った時点で逃げなかった谷崎が悪い」


国木田さんが壁に寄り掛かり、乱歩さんは壁に沿って座った。


「まずい、と思ったらすぐ逃げる。危機察知能力だね。例えば………今から10秒後」


懐中時計を出して時間を見る乱歩さん。


頭が追いつかず、首を傾げていると谷崎さんが出て来た扉が開いた音がした。


僕はそちらを見て笑う。


「ふァ〜あ…寝過ぎちまったよ」


「与謝野さん」


「あぁ、新入りの敦だね。何処か怪我してないかい?」


「えぇ、大丈夫です」


与謝野さんが小さく舌打ちをした後、社内を見渡した。


「ところで、誰かに買出しの荷物を頼もうと思ったンだけど……あんたしか居ないようだねェ」


「えっ!?」


慌てて後ろを振り向くが、居たはずの4人はいない。


冷や汗を掻きながら、与謝野さんの買出しに付き合う事にした。


_______太宰さんは大丈夫だとして、本当にAは無事なんだろうか。


探偵社から出るまで僕は、そんな事を考えてばかりいた。

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匿名part2 - 浅間ってなんかハーフみたいで変 (2018年2月28日 21時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
赤影真未(プロフ) - 面白かったです!すぐに続編読みますね! (2017年10月19日 2時) (レス) id: 7f3c790d7e (このIDを非表示/違反報告)
夕月(プロフ) - 匿名さん» 申し訳ありません。まだその様なシーンを出していない為、忘れておりました。速攻で出しますのでご了承ください (2017年5月21日 19時) (レス) id: 5f9b98437e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - これは同性愛ですよね?BLフラグを立てて下さい。違反の対象となります。 (2017年5月21日 19時) (レス) id: 8d53b1880e (このIDを非表示/違反報告)
マロンクリーム - 面白いです!楽しみに待ってます(`・ω・´)頑張ってください! (2017年5月20日 5時) (レス) id: 9f03df5593 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: x他1人 | 作成日時:2017年1月9日 23時

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