拾伍話 ページ17
予想通り過ぎて逆に虚しくなるな。
「ところで、今日は何処へ?」
敦の質問と同時に、俺は太宰を見やる。
「うん。君達に仕事を斡旋しようと思ってね」
「本当ですか!」
『へぇ、仕事かぁ』
「伝手の心当たりがあるから、先ずは探偵社に行こう。任せ給えよ、我が名は太宰。社の信頼と、民草の尊敬を一身に浴する男」
「ここに居ったかァ!」
前方から大声を出しながら国木田が此方に向かって来た。
「この、包帯無駄遣い装置!」
『ぶはっ』
「_______国木田君、今の呼称はどうかと思う」
手で顔を覆い、傷付いたフリをする太宰を見ながら笑う。
「この非常事態に何をうろうろ歩いて居るのだ!疾く来い!」
猛烈に嫌な予感しかしない…。
「朝から元気だなぁ。あんまり怒鳴ると悪い体内物質が分泌されて、そのうち痔に罹るよ」
「何っ、本当か!?」
「メモしておくといい」
「理想」と書かれた手帳に其れを書き込む国木田。
「嘘だけどね」
バキッ、と万年筆が折れる音がして彼は太宰を殴る。
なんか此の光景、最初の方にも見たような気がした。
「あの…「非常事態」って?」
敦は国木田が云っていた先程の言葉を思い出したのか、言葉を紡ぐ。
「そうだった!探偵社に来い!人手が要る」
「『何で』」
俺と太宰は同時に質問をした。
「爆弾魔が、人質を連れて探偵社に立てこもった!」
あぁ、嫌な予感が的中した。
走り出す三人の後を俺は渋々駆け出す。
「嫌だァ……。もう嫌だ…。全部お前等の所為だ……『武装探偵社』が悪いンだ!社長はどこだ。早く出せ!でないと_______爆弾で皆吹き飛んで死ンじゃうよ!」
人質であろうセーラー服に身を包んだ少女。
犯人は片手に爆弾の
喚く様子を物陰からこっそり見やる俺達。
「あちゃー」
「怨恨だ」
「ウチは色んな処から恨み買うからねぇ」
犯人のすぐ近くには爆弾が置いてある。
『あれ…
「……よく判ったね。爆弾に何か被せて、爆風を抑えるって云う手もあるけど……この状況じゃあなぁ」
「どうする?」
「会わせてあげれば?社長に」
「殺,そうとするに決まっているだろ!それに社長は出張だ」
「となると…人質をどうにかしないと」
何故かじゃんけんを始める太宰と国木田。
勝者は太宰だった。
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匿名part2 - 浅間ってなんかハーフみたいで変 (2018年2月28日 21時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
赤影真未(プロフ) - 面白かったです!すぐに続編読みますね! (2017年10月19日 2時) (レス) id: 7f3c790d7e (このIDを非表示/違反報告)
夕月(プロフ) - 匿名さん» 申し訳ありません。まだその様なシーンを出していない為、忘れておりました。速攻で出しますのでご了承ください (2017年5月21日 19時) (レス) id: 5f9b98437e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - これは同性愛ですよね?BLフラグを立てて下さい。違反の対象となります。 (2017年5月21日 19時) (レス) id: 8d53b1880e (このIDを非表示/違反報告)
マロンクリーム - 面白いです!楽しみに待ってます(`・ω・´)頑張ってください! (2017年5月20日 5時) (レス) id: 9f03df5593 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:曉 x他1人 | 作成日時:2017年1月9日 23時