れもん哀歌

30-Do ページ30

中「これはなんだ」

『よくわかんない 突然私のPCに送られてきたの』

中「内部からか？」

『ううん 外部からの受信』


系ちゃんはしばらく画像を眺めて

不意に女性を拡大した


中「ｯ!!これは…A…?」

『そう私 ほんっと悪質だよね』

中「合成にしては出来すぎだな」

『だよね ドッペルゲンガーか双子みたい』

中「双子…」

『なにか思い当たる節でもあるの？』

中「いや 気のせいだ 忘れろ」


そうは言ったけど きっと系ちゃんは心当たりがある

だって画像を携帯に送ってまじまじと見てるんだもん


「堂本さん この資料まとめてもらってもいいですか？」

『あ はい わかりました』


事務員さんから渡された仕事は そこまで量はないけれど

中々やる気になれなくて

だらだらキーボードに手を伸ばす

その瞬間に鳴り響く私の携帯の着信音


『だれ…』


表示されるお母さんの文字

ラボから出た廊下で緑のマークをタップする


『もしもし』

「もしもし??元気してる?」

『元気だけど 今仕事中』

「ごめんね!お父さんがAに会いたいってしつこくて」

『この前帰ったばっかりでしょ？』

「そうなんだけど…実は今 お兄ちゃんが帰って来ててね」

『あ、そうなんだ…』

「系さんの話をしたらね 親子揃って結婚はまだかとか早く孫の顔が見たいとか言い始めちゃったのよ」

『ほっときなよ それにきっと系ちゃんと結婚はしないよ』

「そんなこと言わずに! 1度でいいからお兄ちゃんと系さん会わせてくれないかしら」

『法医解剖医って中々休み取れないんだよ？うちは人員も足りてないし…』

「そこをなんとか!!あ 神倉さんに私が直接お願いしようか?」

『流石にそれは…何とか粘ってみる 決まり次第連絡するから』

「ありがとう 楽しみに待ってるね」

『はーい お母さんも身体に気をつけてね』

「私は大丈夫 貴方が私達の娘でよかった」

『うん じゃあ』


ツー、ツー、と音を発する携帯の画面をじっと眺める

お兄ちゃん 帰ってきてるのかぁ

面倒くさいなぁ



ラボに戻って 系ちゃんに声をかける


『ねぇ系ちゃん 次の月曜日休み取れないかな』

中「なんか用でもあるのか」

『今 実家にお兄ちゃん帰って来てて 系ちゃんに会いたいって』

中「あぁ あの韓国に出張してた」

『そう 無理、かな？』

中「丁度休みを取ってある Aは出勤だろ」

『何とか休みもらうよ!』

中「そうか 車は俺が出す」

『ありがとう』


2人でドライブかぁ ちょっと楽しみ

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